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カナダ編 撮影日記

紅葉と「ル・マシフ・シャルルボワ」
紅葉の海
「秋のカナダ」と言えば、真っ先に思い浮かぶのは「メープル街道」だ。ナイアガラ地方からケベック州のケベック・シティへと約800km続く、鮮やかな紅葉が広がる観光ルートの総称。だから、街道といっても1本のルートがそう呼ばれるのではない。ちなみに、この「メープル街道」という呼び名は、紅葉が美しい町や村にちなんで、日本人が命名したと言われている。古くから四季を愛で、紅葉を楽しんできた日本人らしい話である。
乗車する列車は、「VIA鉄道」。国内全土1万2500kmを網羅する、カナダの代表的な鉄道だ。トロントを出発して、ケベック・シティへと向かった。この路線は、まさにメープル街道を走る。途中、オタワ、モントリオールの街に立ち寄った。沿線だけでなく、街の中心部にもメープルが植わっていて、見る者の心を和ませる。モントリオールを過ぎると、より鮮やかな紅葉が、車窓に広がり始めた。それまで食事やパソコンに夢中だった乗客達、一旦手を休まざるを得ない。車窓に釘付けになっていた。
カナダは広い。紅葉が綺麗なのは、メープル街道だけではない。ケベック・シティと、そこから約140km北に離れた場所にある高級リゾート地「ラ・マルベ」を結ぶ観光列車にも乗車した。2011年に誕生した「ル・マシフ・シャルルボワ」という列車だ。この列車の車窓から見える紅葉も圧巻だった。沿線の山々がメープルの紅葉で覆い尽くされて、辺り一面が赤く染まっている。その様は、まるで「紅葉の海」。
日本の繊細な紅葉も見事だが、スケール感のあるカナダの紅葉も素晴らしかった。ここまで壮大な紅葉が広がるとは、予想もしていなかった。
ディレクター 木下洋輔
メープル街道を行くVIA鉄道
車窓から見える紅葉