カナダ編 撮影日記

- カナディアン・ロッキーを走る列車
- 嗚呼、美しき光景
- 車窓に、世界自然遺産カナディアン・ロッキーの山々が見えて来ると、乗客たちが一斉に立ち上がった。「見えて来る」という表現よりも、「迫り来る」という表現の方が正しいかもしれない。氷河長い年月をかけて創り上げた山々。荒々しい山塊もあれば、彫刻刀で丹念に削ったかのような繊細な山もあり、見る者を魅了する。中には、その雄大な姿からか、ただ呆然と山々を見つめる乗客もいた。
- ロッキー・マウンテニア号は、カナダで初めて指定されたバンフ国立公園の中を駆け抜け、夜7時30分、カナディアン・ロッキーの観光の拠点の街、バンフに到着した。陽はすっかり落ち、灯りは駅舎の小さな街灯とロッキー・マウンテニア号の車窓から漏れてくる灯りだけ。バンフの景色は、ほとんどわからなかった。
- 翌日、ロケ車輛でバンフの街を走り、バンフ国立公園の実景撮影に向かった。視界に飛び込んできたのは、雪渓や氷河を抱く美しい山々。水がエメラルドグリーンに輝くボウ川とレイク・ルイーズ。周囲の景色をそのまま水面に映し出すモレーン湖。路上に突然現れる動物たち。360°見渡し、どこを切り取っても絵葉書のような絶景。カナディアン・ロッキーは、地球が歩んだ悠久の時間を我々に感じさせてくれた。まだまだ、この地にいて、撮影をしていたかったというのが本音。
- ちなみにカナダでは、老後にマイホームを売って、そのお金で小さな家とキャンピングカーを購入する夫婦が多いのだとか。そのキャンピングカーで、大自然を旅するそうだ。そんな生活、羨ましい限りです。
- ディレクター 木下洋輔

- 街中で遭遇したエルク

- 息をのむほど美しいモレーン湖