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カナダ編 撮影日記

出発を待つロッキー・マウンテニア号
旅、始まる。
カナダ西の玄関口、バンクーバー。この街が、旅の起点だ。例年9月は雨の日が多いそうだが、今年は「インディアン・サマー」が長いとのことで、まさにロケ日和。車輛は、北米らしくシボレー・サバーバン。当初、機材を積んで、スタッフが乗ったら窮屈なのではという懸念もあったが意外に広く快適。街は、緑の公園が多く、きれいな山や海に囲まれている。優しそうな人たちが声をかけてきてくれる。「世界で最も住みやすい都市」と呼ばれる所以が、滞在わずか数時間で理解できた。
街の中心地から少し離れた所に、ロッキー・マウンテニア・バンクーバー駅はある。行ってみると、翌日乗車する「ロッキー・マウンテニア号」が夕日を浴び、待機していた。その姿を見た途端、旅が始まることへの期待と、それとは裏腹に撮影がうまくいくかという不安、その双方が一挙に込みあげてきた。
バンクーバーを出発し、カナディアン・ロッキーを駆け抜け、大自然に囲まれたバンフ駅を目指す一泊二日の旅。乗車するロッキー・マウンテニア号は、豪華観光列車と呼ばれている。1Fはダイニングルームで高級レストランのようだ。2Fが客席。天井は全面ガラス張り。そして、車両に高さがあるので、地上を見下ろす感覚。まさに、大自然を駆け抜けるための列車だ。客層は中年・老夫婦が目立った。しかし、車内での興奮隠しきれない彼らの様子がとても印象的だった。まるで子供が遊園地のアトラクションではしゃいでいるかのよう。童心に帰っていた。
8時15分出発。駅のホームで見送る人々の姿が、はるか下に見えた。
ディレクター 木下洋輔
ロッキー・マウンテニア・バンクーバー駅
バンクーバーの街