【別館】さやま・こどもクリニック~教えて佐山先生~

Chart ⑦児童精神科医の仕事について パート①

第7回となる今回は、児童精神科医の仕事についてご紹介します。

私の仕事の一端を皆さんに
知ってもらえたら嬉しいです

ポイント ①幅広い児童精神科の領域

児童精神科では、子どもの発達障害・知的障害といった発達面の問題、不登校や非行・虐待などの心理社会面の問題、うつ病や不安症まで、子どもにも起きる様々な精神障害を扱っています。

ポイント ②児童精神科医は、まだまだ少ない

大人を対象とした精神科医、あるいは子どもの身体を診る小児科医も多くいます。一方で「こどものこころ」を診る児童精神科医は、ジャンルが新しいこともあって日本ではまだ数千人程度と稀少です。そのため、都市部でも地方でも初診の予約が数ヶ月待ちということも珍しくありません。
子どもたち一人一人とじっくり話さなければ出てこない話もありますし、一緒に話を深めていくためにはどうしても時間が必要です。それが理想的である一方で、たくさんの患者さんに短い時間であっても診療を届けることも、特に児童精神科医が足りていない地域では重要なことといえます。

ポイント ③リエゾン=チーム医療

こうした児童精神科医の不足をカバーするためにも、他の職業との連携は不可欠です。児童精神科でも「リエゾン=チーム医療」の必要性が強く叫ばれています。
入院中であれば、看護師、心理師、作業療法士、院内学級の教員などといった職種が、それぞれの職分に応じて子どもに関わります。例えば医師が心理師の取った検査を参考に相談して見立てをし、プランを立てます。それを実際の生活場面に落とし込むために看護師がその子に合わせた物品を作ったり声かけをしたりします。そして生活の中で他の患児と一緒に作業療法に取り組み、院内学級では教員が学習の指導をしつつ様子を観察する。このように、様々なシーンで子どもを見守りながら、皆がそれぞれの専門的な立場から考えたことを持ち寄り、子どものために次はどうするのが良いかを相談します。
外来の場合は、(保護者の同意を得て)その子の通学先の学校の先生から授業中の様子や家庭での様子を聞き取ると同時に、医療側の方針や関り方のアドバイスをお伝えすることもあります。虐待が疑われる子は、市区町村の担当部所や児童相談所と密に連絡を取り合って、子どもの身体的・心理的な安全を確保するよう努めます。
子どもの暮らしは医療の中だけでは完結しませんので、上記のように「子どもの暮らしに関わる人たち」が力を合わせて見守っていくことが重要です。

次回予定

児童精神科医の仕事について パート②