Chart ③ASDについて
第3話では、『ASD=自閉スペクトラム症』という凸凹をもつ女の子、柿崎希ちゃん(演、沢田優乃さん)が登場しました。今回はこのASDについて、くわしくご紹介します。
ポイント ①幅広い概念
ASD(自閉スペクトラム症)は、先天的な障害である発達障害(=凸凹)の一つです。
コミュニケーションの困難さ、言葉の遅れ、知的障害の有無といった特性の程度から、以前はアスペルガー症候群、高機能自閉症、カナー型自閉症などという分類がありましたが、現在はこれらの特徴を持つ人たちを大きく一括りにしASDとしています。
ポイント ②主な特徴
症状は千差万別で人によって異なります。ここでは代表的な例をいくつか触れます。
- コミュニケーションの困難さ →
空気を読むのが苦手、行間が読めない、裏の意味が取れない - こだわり →
特定のモノ・コトへのこだわり、儀式的な行動をとる - 感覚過敏 →
視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、痛覚といった感覚のいずれかまたは複数が過敏
ポイント ③支援の方法
その子の凸凹に寄り添うことが基本です。得意なこと・好きなこと・できることは伸ばして、苦手なことは他者の手助けや環境調整を行い、日常生活の中でのストレスを感じずに済むように、生きづらさをできるだけ取り除いていくことが大切です。
1.こだわり行動への対応
こだわり行動を行うことは、心を落ち着かせる自己調整行動でもあるため、無理にやめさせたり叱ったりすることは、かえって逆効果になります。
短期的には、活動を使って切り替える指示を出すことも効果的です。時間で切り替えるのが難しい場合が多いため、「○○が終わったら△△をしよう」といった具合に、活動の内容で切り替える方がスムーズです。
長期的には、待つことが大切です。見守る、同じ空間にいて別のことをする、時には一緒にできることであれば参加してみることなどで、その子の世界に少しずつ入っていくことができます。するとコミュニケーションを取るきっかけが生まれ、興味が物だけではなく人へ向いたり、関わる経験の中から「人とのやりとり」に興味が湧いたりすることもあります。
2.感覚過敏への対応
視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚、痛覚などの感覚がとても敏感な子がいます。救急車のサイレンが苦手だったり、毛糸など生地の洋服が着られなかったり、などです。
その子の苦手なものを把握して、触覚であれば特定の生地の接触を避ける、聴覚であればイヤーマフをつけるなど、道具も活用しながら適切な環境調整をすることが大切です。また、園や学校の先生と情報共有をしておくと、学校場面でも適切な対応をしてくれます。
3.具体的に物事を伝える
ASDの子は、場面を読む、臨機応変に対処する、といったことが苦手な場合が多く、5W1H(いつ、どこで、なにを、誰と、なぜ、どのように)の見通しが立たないと不安を覚えます。ですので、なるべく具体的に物事を伝えることが大切です。一度納得できたルールや決まりごとを守ることは得意なので、丁寧に伝えていくことが大事です。その際は字や絵、図、表などを使って視覚化して説明することも効果的です。
また、ルールを変更する時はその場で突然変えるのではなく、事前に説明して理解しておいてもらうとスムーズに進みやすいでしょう。ASDの子は見通しを立てるのが苦手なため、先々の可能性を細かく提示しておいた方が環境の変化にも適応しやすいでしょう。
私自身もASDの凸凹をもつ
当事者の一人です。