

2007年1月24日
日本の高度成長期を支えてきた街、大阪・西成区の「あいりん地区」。現在、この街には約2万人の日雇い労働者が暮らしているが、その約7割が50歳以上といわれ、高齢化が進んでいる。去年の月別求人数は過去2年を上回った月が多く、この街にも景気回復の兆しが見え始めている。しかし50歳以上の人たちには仕事が回ってこず、厳然たる「格差」が広がっている。「あいりん地区」の過酷な現状を追った。
56歳の鈴木芳三さん(仮名)は、ホームレスになって7年。いま、鈴木さんが生活費を得る手段は「アルミ缶集め」しかない。資源ゴミの出る朝は、6時ごろから歩き回る。3時間かけて集めたアルミ缶は、買い物袋3つほど。リサイクル業者は1キロ150円程度で買い取り、この日の鈴木さんの収入は380円だった。平均月収は2万円ほどだという。
「あいりん地区」には、「寄せ場」という日雇い労働者が仕事を探す場所がある。仕事は土木工や建設作業員などが多く、日当はどれも1万円前後だ。30年以上、この地区で働いてきた66歳の男性は、仕事を求め寄せ場にやってきたが、まったく仕事が得られなかった。手配業者はいう「20歳と60歳を回った人と比べたら、20歳を選ぶよ。同じ単価(日当)だから」。
では、収入がある日雇い労働者とは、どんな人なのか?42歳の棚瀬正志さん(仮名)は、2年前に「あいりん地区」に来た。棚瀬さんはひと月に25日ほど仕事をし、月収は27〜30万程度だという。仕事がある理由、それは派遣業者と顔見知りになっていることだった。「まじめにしておけば、経験すれば何でもできる」と語る棚瀬さん。周りの高齢者が仕事につけない状態を目の当たりにして、将来に不安はないのだろうか。「今のところ不安はない。将来どうなるかわからないのはサラリーマンでも一緒」と語った。
1泊600円から1500円程度の簡易宿泊施設には、収入のある労働者が泊まっていて、棚瀬さんも1泊1200円の簡易宿泊施設に寝泊りしている。しかし「アルミ缶集め」で生計を立てている56歳の鈴木さんは、野宿生活を続けている。この夜の気温は4度。ダンボールをつなげ、寝袋をいれたものが鈴木さんの「寝床」だ。ホームレスには、最後の救済策がある。65歳ごろから生活保護が認定されやすくなるのだ。鈴木さんの場合はあと9年。