

2007年3月8日
日本列島を襲う大暖冬。豪雪地帯でさえも、極端な雪不足に直面している。高級ブランド米の産地として有名な新潟県魚沼市・水沢地区でも、雪不足が米作りに意外な影響を及ぼそうとしている。この地区では、雪解け水を"ため池"に集めて農業用水にしている。ため池には周囲の雪が溶けてそのまま集まる水と、地下水となって湧き上がる水とで、1年を通して満々と農業用水を確保できるはずだった。例年なら4メートル以上の積雪で完全に覆われているはずだが、今年はむき出しになったままだ。田んぼは山の上にあるため、雪解け水だけが唯一の水源で、他から調達する方法はない。このままでは今後、農業用水の不足も予想される。
首都圏に暮らす4000万人の水がめの一つ、矢木沢ダムもやはり水源の多くを周囲の山々の雪解け水に依存している。
今年、この地方の積雪量は例年の3分の1で、現在のダムの貯水量は58%しかない。このまま雪が降らなければ、首都圏が影響を受けるのは必至だ。1996年、利根川水系では冬から春先にかけて、史上初めて関東の一部で雪不足による取水制限が行われた。その記録を大きく塗り替えた今年は、96年を上回る被害が予想される。
2005年の夏、西日本を襲った渇水を受けて当時の小泉首相はこう発言した。「雨を降らせるプロジェクトは何かないか?」これをきっかけに始まったのが"人工降雪実験"だ。ダムなどがある場所へピンポイントに雪を降らせ、水不足を解消しようという壮大なプロジェクトに気象庁気象研究所が取り組んでいる。
水分を大量に含む雲をめがけ、ドライアイスを散布する。そうすると、ドライアイスが雲の中の水滴を瞬間的に凍らせて"雪のもと"を作り、それが結合し合って雪になるというのだ。今回の実験では、ドライアイスを積んだ飛行機で、地上5ヶ所の観測ポイント上空を飛行。30キロのドライアイスを散布し、人工的に発生させた雪を観測する。
そして実験から1時間後、降っていた雨が確かに雪へと変わった。
1トンのドライアイスを1000時間散布すると、一冬の降雪量を30パーセントから40パーセント増やすことができるという。今回の実験で降った雪のうち、人工的に降らせた雪がどれだけあったのか、これからデータ解析が進められる。そして今後5年間、実用化に向け、実験を続ける予定だ。