

2007年3月14日
インフルエンザ治療薬「タミフル」を服用したあと、異常行動を起こす例が多く報告されている。神奈川県川崎市に住む10歳の男の子は去年、39度8分の熱を出して病院へ行った。
そこでインフルエンザと診断され、タミフルを処方された。昼過ぎに一錠、夕食後の9時すぎにもう一錠飲んだ。その直後、男の子は布団から突然起きだして、ベランダに飛び出そうとしたのだ。父親が慌てて背中を掴んで事なきを得たが、男の子は父親に声をかけられたことも覚えていないという。九州に住む13歳の男の子も、タミフルを服用して1時間後に異常行動を起こした。男の子は、そのときの様子をこのように語った。「とにかく怖くて、この場所にいると死んでしまいそうだから外に飛び出したかった。」
インフルエンザウイルスの潜伏期間は1日から3日。発症すると38度以上の高熱が出る。インフルエンザウイルスは咳などで伝染し、気道内で増殖を繰り返して粘膜細胞にダメージを与える。タミフルは、細胞からウイルスが離れるのを阻止してウイルスの増殖をとめる効果があるとされ、日本では世界の7割を消費しているといわれる。タミフルは日本人で最も多い「A香港型」や、現時点で警戒されている新型ウイルスなどにも効果があるとされる。日本では、おととしから5年間で2500万人分を備蓄する計画が進んでいる。
その一方で、2001年にタミフルが処方薬になってから、マンションからの飛び降りなどの異常行動が報告されている。しかし、厚生労働省側は研究班による調査結果からタミフルとの因果関係を否定している。
厚労省は、異常行動の原因について、抵抗力の弱い子供たちが数千人に一人の割合で引き起こす「インフルエンザ脳症」に注目している。インフルエンザ脳症では、タミフルを服用していなくても異常行動や痙攣(けいれん)を起こす場合がある。脳症による意識障害で昏睡状態に陥る子供もいる一方で、異常行動を起こしても脳症にならずに回復することもある。厚労省は、一連の異常行動がこのケースではないかとみている。
しかし、1997年に世界で始めてインフルエンザ脳症を発表した日本小児医会常任理事で札幌市立大学客員教授の富樫武弘氏は、見解が異なる。異常行動が報告されているのは10歳前後に多いが、脳症は6歳未満に多いことをあげ、さらにこう指摘した。