

2007年5月11日
トラックなど貨物車が起こす交通事故件数が1990年代後半から急増し、年間およそ3万7000件となっている。なぜ事故が増えたのか?番組では、ある一人のドライバーに密着。その仕事ぶりから、トラックドライバーの過酷な労働状況が見えてきた。
12トンの大型冷凍車で「花形路線」と呼ばれる東京〜大阪間を運転する今井さん(仮名・22歳)。この日の積荷は冷凍の豚肉で、翌日の午前8時までに大阪の倉庫に届けるという。今井さんは午後11時に東京を出発した。労働基準法では"連続運転4時間ごとに30分の休憩"と"16時間以上の労働の禁止"が定められている。しかし、今井さんは朝8時から働き通しだ。「労働基準法ってイマイチわからない。守っていたら仕事にならない」と今井さんは言う。配達時間が決められている肉や鮮魚は、遅れて到着すれば荷物を受け取ってもらえなくなり、その補償は今井さんの会社が背負わなくてはならないのだ。東京を出発してから8時間、今井さんは一回も休むことなく大阪に到着した。
午前7時、倉庫が開くまでのわずかな時間が休憩時間になる。今井さんはここで1時間ほど仮眠をとった。次の仕事は荷おろし。一箱30キロもある積荷を一人でおろさなくてはならず、かなりの重労働だ。この日は大阪から神戸4ヶ所を周り、荷物をおろし終えた。そして帰りには東京行きの牛肉を大阪で積む。すべて積み込むのに午後6時近くまでかかった。
この5年で、燃料代は4割ほど上がった。一方で、運送代は荷主から値下げを求められ続け、"経費削減"の重圧は容赦なくドライバーにのしかかってくる。
午後10時、今井さんは東京へ向け出発した。経費削減のため、時間の許す限り一般道を走る。「高速道路を使うのは、寝る時間を買うためのようなもの」と語る今井さん。午前3時50分、ETC割引が使える時間を狙って、沼津から高速道路に乗った。今井さんは「これくらいになると、集中力がなくなりフラフラする」と言う。そして午前4時半、足柄サービスエリアで停車し、運転席の後ろにある寝台で横になった。手足を伸ばして寝るのは、じつに44時間ぶりだった。短い仮眠をとったあと再び出発。そして午前10時、ようやく目的地へ到着した。大阪からの荷物をおろせば、これで1回の仕事が終わる。こんな東京〜大阪間の仕事を1ヶ月に10回繰り返す。