

2007年5月17日
今月10日、熊本市の慈恵病院にいわゆる"赤ちゃんポスト"「こうのとりのゆりかご」が設置された。初日に3〜4歳の男の子が預けられるという想定外の出来事もあったが、病院には17日までに40件を超す問い合わせが寄せられている。赤ちゃんが預けられたら、その子はどうなるのか―――。仮に0歳児が預けられても、すぐに新しい親のもとには行けない。そこには、法律面の大きな壁があった。
「こうのとりのゆりかご」に預けられた赤ちゃんは、ほとんどの場合、熊本県内に3ヶ所ある乳児院に託されることになる。そのひとつ、熊本県八代市にある「八代乳児院」では0歳から3歳までの11人が暮らしていて、このうち3人は生まれてすぐ置き去りにされた。親の病気や離婚など、さまざまな理由で親元から離された子供たち。特に置き去りにされたケースでは、経済的な理由が最も多い。赤ちゃんは2〜3歳まで乳児院で過ごし、親が引き取らなければ児童養護施設か里親に託されることになる。
実際に里親として子供たちと暮らしている家族を訪ねた。熊本県内に住むこの一家は、両親と養女として迎えた長女(22)、二女(19)、三女(16)、そして里子として受け入れた長男(15)の6人家族だ。里子は"戸籍上"では家族とはならず、ひとりだけ名字が違う。0歳児から養子縁組した3人の娘と、2歳のときに乳児院から引き受けた里子―――。それぞれを経験した父親は「0歳から3歳までに、赤ちゃんと親の信頼関係がしっかりできる。できることなら、(こうのとりのゆりかごでも)0歳から新しい里親のもとで育って欲しい」と語る。
法律上の親子関係を結ぶ養子縁組。しかし、子供の親がわからない場合は、手続きに時間がかかるケースが多い。「こうのとりのゆりかご」は匿名性を重視しているが、養子縁組に詳しい中央大学法科大学院の奥田安弘教授はこう語る。「ドイツでは8週間たって親が現れない場合は、親の同意なしに養子縁組の手続きを始めることができる。しかし日本の場合は期間の定めがないので、裁判所としては迷うところだと思う。後から親が現れた場合どうしようかと…」