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2007年7月4日

運命を分ける3時間・・・脳梗塞治療の最前線

運命を分ける3時間・・・脳梗塞治療の最前線

一命を取り留めても、麻痺などにより寝たきりになってしまうこともある脳梗塞(こうそく)。これは、血管がふさがって血流が止まり、脳細胞が死ぬ病気だ。脳細胞が死んだ場所によって、言語障害や手足の麻痺、意識障害などが起こる。脳梗塞は、日本人が寝たきりとなってしまう原因のトップと言われている。

これまでは、血管が詰まると病気の進行を見守るしかなかった。ところが2年前の10月、"脳梗塞治療の革命"と言われる血栓溶解剤「t―PA」が認可された。これは、血の塊を溶かして取り除く効果があり、血流を再開させることができる薬だ。
しかし、一方で大きな問題点がある。血流が途絶えた血管は時間とともにもろくなるため、急に血流を再開させると脳出血を引き起こす危険があるのだ。そのため「t−PA」の使用には【発症から3時間以内】という厳しい時間制限が定められている。

6月中旬、大阪府吹田市の国立循環器病センターに一人の男性が運び込まれた。患者は片山昭弘さん(80歳)。片山さんは左半身を麻痺していて、脳梗塞の典型的な症状だと思われた。片山さんが病院に到着したのは午前10時40分。"発症した時間"が重要だった。救急隊員の情報から、発症したのは午前9時45分で、すでに55分が経過していることが判明した。片山さんは、自宅近くの銭湯で頭を洗っていて左足に力が入らなくなったという。しかし、人目がある場所だったことが早い対応に繋がった。
「t−PA」のタイムリミットまで、あと2時間5分―――。

搬送された国立循環器病センターは、12人の専門医と若い医師たちが24時間体制で患者を受け入れている。「t―PA」を打つまでには様々な検査が必要となる。CT検査の次はMRI検査へ。このとき、残り1時間40分―――。
MRIで脳の血管の状況と脳細胞の損傷範囲を確認する。ところがここで、医師たちは困惑の表情を見せた。片山さんにはもともと麻痺があり、今回の病巣がはっきりしないというのだ。脳梗塞の中には、検査画像に写らないものもある。このときも脳梗塞が起きているのか確認できなかったのだ。残り時間は1時間30分を切っていて、医師たちは判断を迫られた。
そして患者の麻痺の重さから脳梗塞と判断し、「t―PA」の投与を決めた。事前検査をクリアするまでに、45分近くの時間を要した。

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