

2007年7月20日
参議院選挙の争点のひとつ「年金」。今や、人口の4人に1人が年金暮らしをしている。厚生年金の場合、月に10万円もらっている人は210万人で、全体の18%を占める。月に10万円前後の年金だけで暮らすお年寄りの厳しい現実を河野明子アナが取材した。
千葉県松戸市にある「常盤平団地」には5400世帯が暮らしている。高度経済成長の時代に常盤平は東京のベッドタウンとして整備された。近代的な設備で、子育て世代の夫婦は競って入居した。
そして、かつての子育て世代は"年金世代"となった。常盤平団地には家賃が安く、ひとり暮らしのお年寄りが集まる地区がある。現在、1032世帯あるが、子どもは13人しかいない。
99歳の青山キミさんは、83歳までマッサージの仕事をしていた。子どもはいるものの、ご主人がなくなってからは一人暮らしを選んだ。収入は1年間で年金40万円と、軍人だったご主人の恩給94万円だ。食費は月に2万2000円で、おかずは材料と光熱費を節約するために一週間分をまとめて作る。「もう少し(年金を)もらえれば、それに越したことはない。お金にゆとりがあれば、気持ちにもゆとりができる。寝間着でもなんでも、40年前のものを着ている」と青山さんは言う。
常盤平団地の自治会は「孤独死予防センター」を設置し、年金が少ないお年寄りを支える活動をしている。定期的に団地の見回りをして、異変が起きていないか確かめるのだ。ギリギリの暮らしの中で、真っ先に削るのは人付き合いでかかる交際費。家に閉じこもりがちになり、知らぬ間に孤立していく。そして限界を超えたとき、お年寄りの自殺や孤独死が起こるという。生活感が希薄な部屋には呼びかけ、中のにおいを嗅いで安否を確かめる。
自殺や孤独死が起きた部屋は「事故部屋」と呼ばれ、半額の家賃で提供される。
本間洋子さん(80)の年金は月9万円。住めるところがなく困っていたところ、業者からこの事故部屋を紹介された。「(事故部屋には)抽選がない。行く先がないと困るから申し込んだ」と本間さんは言う。
この日、かつて自治会の役員を務めていた織田さん(仮名・73)と、突然連絡がとれなくなった。織田さんは、札幌の団地に引っ越したばかりだった。自治会の人々は、どうして突然連絡がとれなくなったのか心配していた。