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2007年8月29日

モラルなき利用者の実態〜救急車をタクシーにする人々

モラルなき利用者の実態〜救急車をタクシーにする人々

一刻を争う救急医療に救急車の活動は欠かせない。しかし、救急車の不適切利用のケースがここ数年、全国で増えている。利用する側のモラル低下が問われる中、その実態に迫った。

愛知県・名古屋市は、全国でも4番目に救急出動の件数が多い。去年も10万件を超え、そのうち約1万件は不搬送だった。東消防署救急係長の村上敏彦氏は「5〜6年前よりは、確実に増えている状況。気軽に"タクシー代わり"に呼ばれる」という。名古屋市東区にある東消防署では、半径約2kmの地域を1台の救急車でカバーしている。

ある日、男性が公園でケンカし、顔面から血を流しているとの119番通報が入った。現場に到着すると、男性は右目を打撲し出血していた。しかし、救急患者と思われたこの男性は、驚くべきことを言い出した。
「ノドが乾いた。飲み物ない?」
さらに――。
「(搬送先の病院で)金はかかるの?持ってないよ。どうしてくれるの」
一刻を争うはずの救急車内で、男性は10分以上もこうしたやりとりを続けた。
そして――「救急車で家に寄ってもらうことはできる?」
男性は、家に寄ってくれないならと救急車を降りてしまった。

東消防署救急係長の村上敏彦氏は「出動したら(搬送まですると)1時間くらい戻れない。その間に近くで重症患者や心肺停止状態の人が救急車を呼ぶと、他の隊が来なくてはいけない。5〜6分の遅れは、重症患者にとっては非常に大きな時間。間接的に命を落とした患者も、今までにいたと思う」と言う。不適正利用による出動で消防署に救急車がいない時に管轄内で重症患者が出た場合、周辺の消防署から救急車が出動しなければならない。

救急車利用のモラルが低下する中、全国で最も出動件数(約70万件)の多い東京消防庁は、今年6月から「トリアージ制度」を全国で初めて導入した。救急現場において、チェックシートに照らし合わせ、救急搬送の必要性を判断するものだ。"傷は一カ所である""意識ははっきりしている"など22項目のチェックリストに当てはまらず、さらに本人の同意が得られた場合は搬送しない。

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