

2007年10月17日
日本人の死亡原因の中でも多くを占める脳梗塞。ひとたび発症すれば、一命を取り留めても体の麻痺などの後遺症を残すこともあるが、その前兆をとらえれば予防ができることがわかってきた。
8月下旬、東京港区の東京都済生会中央病院に男性の救急患者が運ばれてきた。男性は、すでに左側の手足がマヒしていて、さらに悪化して後遺症を残す危険性が高かった。
脳の状態を映像で確認できる「MRI」検査を行ったところ、右前頭葉の前方に梗塞ができているのがわかった。
脳梗塞は、血栓などが脳に血を送る血管に突然つまる。大量の血液が必要な脳細胞は死に始め、時間とともにその範囲が広がっていく―――。
男性の右側の首の血管の状態を確認すると、本来、脳に血を送る頚動脈に血液がまったく流れていないことがわかった。動脈硬化で、コレステロールの塊が血管を塞いでしまったためだ。血管に管を入れる「カテーテル治療」の結果、頚動脈の血流は再開したが、男性には後遺症が残り、今もリハビリに取り組んでいる。
男性の治療にあたった脳血管内治療科の植田敏治医長は「家族によると、前の晩に左の手足が一時的にマヒする状態があった。その時、すぐに病院に来て治療をしていれば、大きな脳梗塞になるのを防げたかもしれない。あるいは後遺症がもっと軽くて済んだ可能性がある」という。
こうした"脳梗塞の前兆"を「TIA(一過性脳虚血発作)」という。小さな血栓などが血管に詰まってマヒが起きるが、しばらくして流されるために症状が回復するのだ。荏原病院・総合脳卒中センターの長尾毅彦医長は「"予行練習"と"本番"という言葉をよく使うが、典型的な"脳梗塞の前兆"は脳梗塞と同じ症状が先行して消える」という。
"脳梗塞の前兆"は、すべて突然起きる…これも脳梗塞と同じだ。
その症状は片側の手や足がマヒする・しびれる
ろれつが回らない、言葉が出ない
相手の言うことが理解できない
片側だけ視界を失う・カーテンを引くように暗くなることも
視界がぼやける・ダブる
これら"脳梗塞の前兆"は数分程度で消えてしまうことが多いため、見過ごされがちだった。