

2007年10月22日
東京・府中市にある府中刑務所。日本で最も多い3000人の受刑者のうち、約2割にあたる538人(10月22日現在)が外国人受刑者だ。44カ国・2地域から来た外国人と、日本人の受刑者がひとつの工場で一緒に作業をしている。
府中刑務所にいる日本人は、覚せい剤や窃盗などを繰り返した平均刑期2年7カ月の累犯者ばかりだが、外国人は刑期6年を超える殺人などを犯した受刑者も多い。彼らは、服役を終えると本国へ強制送還される。
外国人が使う言葉は36言語にも及び、国籍別では中国人が全体の3割を締めている。当初、すべての外国人受刑者は日本人とは別の建物で生活していたが、最近は収容者が急増したため、個室を2人で使ったり、日本人の部屋を使うなどの対応を余儀なくされている。
取材した日の早朝、異常を知らせる非常ベルが鳴った。慣れない服役生活のストレスからか、ドイツ人受刑者が部屋で大声を出して騒ぎ、厳重注意を受けた。さらに、日本人では考えられないこともトラブルの原因となる。外国人処遇担当の谷澤正次刑務官は「『自国のイスラム教の理解、行動の仕方が正しいのであって、お宅の国のイスラム教はおかしい』などと言って(ケンカが)始まったりする」という。
昼食は、工場で日本人と共にとるが、外国人用の特別食もある。この日のおかずは豚カツだったが、豚肉を食べられないイスラム教徒にはチキンカツ、外国人に多いベジタリアンには野菜コロッケだった。
東京で覚せい剤の売人をしていたイスラム人受刑者(40歳・懲役7年 罰金500万円)は、イスラム教徒だ。この受刑者は「決まりが厳しいため、朝(夜明け)の礼拝はできない。冬は日の出が遅いので礼拝時間を守れない」と語る。イスラム教徒が行う1日5回の礼拝は"作業中は禁止"など、所内の規則で制限されているためだ。この受刑者は、府中ならではの服役生活にこう不満を漏らした。「日本の服役環境はあまり良くない。例えば、ここでは"精神的な問題のある人"や"殺人"、"覚せい剤の売人"が一緒に作業をしているから」
全国の外国人受刑者の数は、来日した外国人による犯罪の増加を受けて1994年ごろから増加し、去年は10年前に比べて倍となる5200人となった。