

2007年11月14日
9月25日の午後6時すぎ、佐賀市内の国道で自転車がバイクに接触する事故があった。自転車に乗っていたのは安永健太さん(25)で、交差点でバイクに追突したところを警察官に取り押さえられ、その直後に死亡した。警察は正当な職務執行だったと主張しているが、遺族は強い不信感を抱いている。安永さんと警察の間に何があったのか―――。
警察の説明によると、安永さんは自転車で車道を蛇行していたという。パトカーはサイレンを鳴らして制止を求めたが、安永さんはそのまま走り続けたという。安永さんには知的障害があった。だが、現場の警察官は最後まで障害があるということに気付けなかった。"挙動不審だ"として5人がかりで取り押さえ、手錠をかけた。安永さんは、取り押さえられた直後に意識を失い、搬送先の病院で死亡が確認された。死因は、急性心臓死と推定されている。
安永さんは、自分の大切なものをいつもカバンに入れて持ち歩いていた。その中には、小さい頃に白バイと写った写真もあった。安永さんの父親である孝行さんは「自分が好きな警察官からこういう目にあって、本当に悔しいだろうと思う」と語る。
安永さんは養護学校の高等部時代、スペシャルオリンピックスに日本代表として出場し、400メートルリレーで銀メダルを獲得した。学校を卒業してからは、観光牧場で動物の世話や清掃を担当していた。亡くなったのは、その仕事帰りのことだった。
遺族は「擦り傷というか、殴られたような跡がある。(死体検案書にも)顔面打撲と書かれているが、殴っていないのであればどう説明するのか」と憤る。
その一方で、追突された男性は我々の取材に対してこう話した。「安永さんが暴れたので、取っ組み合いというか、警察官がしがみついた形で倒れていた。私はずっと見ていたので、(警察官が殴っていないと)断言できる」と。
しかし、納得のいかない遺族は目撃者を探し続けた。持病もなかった安永さんの心臓が突然、停止するのはおかしい―――。そして、ある証言にたどり着いた。
当日、現場近くにあるレストランに居合わせた女子高校生によると、警察官が安永さんに馬乗りになり、何発も殴っていたというのだ。