

2008年1月9日
北京オリンピックまで約7ヶ月。2008年の年明けとともに、北京のオリンピックムードはピークに達した。通称「鳥の巣」と呼ばれるメインスタジアムも完成間近。世紀の大イベントを前に今、北京の街中が工事現場と化している。変わり行く街の様子を加藤千洋コメンテーターが取材した。
新しく生まれ変わる北京の街の片隅に、ひっそりとたたずむ胡同(フートン)。小さな路地が迷路のように張りめぐらされている横丁だ。
天安門から南へ2キロのところにある前門地区は、オリンピックのマラソンコースに予定されている。"北京の浅草"と呼ばれるこの胡同は、再開発で取り壊される運命にあるのだ。平均月収は2万円ほど。住民は立ち退きを命じられていて、すでに4分の3の住民が引っ越していったが、政府が出す立ち退き料が少ないため、まだ引っ越すことができない人もいる。さらに前門地区には、北京の伝統的な住宅である「四合院」(中庭を囲んで4つの棟が向き合う建築様式)も残されている。築100年という歴史的建造物も、今や"風前の灯"となっている。
街の通りには、こんな看板がかけられていた。「最後のチャンスをつかめ。安心して住める住宅環境の夢を実現するため」
古い建物が壊された跡にそびえるのは、地上100メートルのビル群「建外SOHO」。店舗やオフィス、住居など様々な施設を擁する一大プロジェクトだ。
骨董店を営む董建津さん(53)は天津新聞の元記者で、1993年に中国初のオークション会社に身を転じた。2000年に北京で開業して以来、骨董ブームに乗ってどんどん売り上げを伸ばしている。"金余り"の中国では今、株や不動産から美術品、骨董など何でも投機の対象になり、あらゆるものがオークションにかけられる。董さんは「中国人の金銭感覚は、昔とは変わった。昔は衣食を満たすためだったが、今は"亨楽型"になっている」と語る。
4年前、加藤コメンテーターが取材した青年実業家は当時、投資目的で3階建てのビルを丸ごと4億円で購入していた。しかし、そのビルは今、彼の持ち物ではない。「ここはどんどん値が上がり、不動産屋に聞いたところ、売り出し当時とは2.5倍くらいになっているという。北京は目先の利いた人は、どんどん金持ちになっていくという感じ」と加藤コメンテーターは語る。