

2008年5月16日
青森県六ヶ所村にある使用済み核燃料の再処理工場。本格稼動が迫ったいま、村の住民はその現実とどう向き合って暮らしているのだろうか―――。
漁業が盛んな泊は、六ヶ所村の中で最も大きな集落だ。約20年前、この集落で再処理工場の建設をめぐり、推進派と反対派が地区を二分した。しかし本格稼動を目前にした今、ここでも反対の声はほとんどない。聞こえるのは「できたものはしょうがない」という声ばかりだ。
六ヶ所村の沖合3キロの海上には、4つの黄色いブイが浮かんでいる。このブイの海底44メートルにある放出管からは、再処理工場で発生したトリチウムなどの放射性物質が排出されている。運営する日本原燃の説明では「もともと放射能が弱く、拡散して薄まるため、人体や海産物には影響しない」という。
最近では、高齢化や不安定な収入を理由に漁業離れが進んでいて、村の産業構造は大きく変わった。ある漁師の家族は「息子は日本原燃で働いている。もし再処理工場がなかったら、この辺はみな出稼ぎに行くことになるだろう」と話す。六ヶ所村の人口が約1万1500人(08年4月現在)なのに対し、日本原燃では約2400人(2007年4月現在)が働いている。
日本原燃の再処理工場には、日本全国55基の原発から使い終わった核燃料が運び込まれる。再処理工場では、この使用済み核燃料を3〜4センチに細かく切断。これを溶かして燃え残ったウランのほか、新たに生成したプルトニウムを分離して、原発の燃料に再利用する計画だ。放射性物質は使用済み核燃料を切断する際にできたもので、蒸留して海へ…フィルターを通して空へ排出される。
日本原燃によると、周辺の住民が受ける放射線量は最大で年間0.022ミリシーベルトで、法令上の限度である年間1ミリシーベルトより遥かに低いという。
工場周辺には、かつて草原だった場所に、社宅や学校、ショッピングモールなどがどんどん立ち並び、便利で現代的な"新しい街"が生まれている。
再処理工場のすぐ隣にコンビニエンスストアを開いた貝塚透さん(38)は、客の8割以上が日本原燃の関係者だという。貝塚さんは「六ヶ所村に住んでいると、再処理工場に絡まなければ商売が成り立たないし、生活もできない。サラリーマンもそういう仕事ばかりだ。