

2008年5月22日
コメの国際指標価格が、今年に入って2.5倍も急騰している。世界有数のコメ輸入国であるフィリピンでも流通米が急騰し、貧困層が安い政府米に殺到している。一方、世界一のコメ輸出国タイ。コメの国際取引の指標価格となる先物市場では、富裕層による投機的なマネーが流れ込む。
食糧危機の現場と、その背景を緊急取材した。
フィリピンの首都マニラの街を走る軍用車両。荷台に乗る兵士たちが守っているのはコメだ。連日30度を超える炎天下の中、人々は配給場所に長蛇の列を作り、銃を携えた兵士たちが警備に当たっている―――。去年には見られなかった光景だ。
ここで売られているのは、フィリピンの国家食糧庁が提供する政府米だ。1キロ約45円だが、買える量は制限されている。
政府米の販売所とは対照的に、市場のコメ売り場に客の姿はない。原因は急激な値上がりだ。店員によると、去年に比べて30〜40%も上がったという。値上がりした民間のコメの価格は、政府米の倍近い1キロ83円だ。
フィリピンでは、人口の3分の1にあたる約3000万人が1日1ドルで暮らしていて、民間のコメを買えなくなった人々が、安い政府米に殺到しているのだ。
マニラの貧困地区のひとつに住むソレタさん(46)も、1時間の距離を歩いて政府米を買いに来ていた。ソレタさん一家は、夫婦と男の子5人、女の子4人の11人家族だ。夫のニロさん(39)は乗り合いバスの運転手をしているが、収入が安定せず、少なければ月5000円のときもあるという。家族がひと月に使うコメ代は2700円で、月収の3分の1から半分がコメに消えている。コメを食べるのは昼と夜の2回だけで、朝はコーヒーで済ますという。ニロさんは「学費も制服を買う金もなく、どうしたら良いかわからない。1年生の子も、まだ学校に行けない状況だ」という。
フィリピンは世界最大のコメ輸入国で、特に貧困層のための政府米は外国に頼っている。フィリピン政府は「コメ不足はない」と胸を張るが、問題は輸入する際の価格だ。国家食糧庁のマルシアノ・アルバレス氏は「輸入米の価格は大きく変わった。1月時点では1トン当たり400ドル程度だったが、今は1000ドルほどになっている」と語る。