

2008年7月18日
炭鉱閉山後、過剰な観光施設への投資で財政が破たんし、再建団体となった北海道の夕張市。借金は膨らみ続け、現在18年間で353億円を返済する再建計画の真っ最中だ。
今年1月、東京都は夕張市に2人の若手職員を派遣した。それには、東京都のある狙いがあった。東京都の猪瀬直樹副知事は「東京はお金持ちと言われているが、夕張はお金のない町。お金がない町とは、どういう町か。破たんした町はどういう町か。それを体で経験することが大事」と語る。
派遣を志願した鈴木直道さん(27)は、都庁に入って10年目。主に介護保険などの福祉を担当していた。
鈴木さんの初出勤は1月。気温はマイナス10度近く、夕張は一面の銀世界となっていた。配属先は国民健康保険を担当する市民課。鈴木さんはここで、破たんした自治体の厳しい現実を知ることになる。
再建計画に基づき職員の年収は4割カット。経済的理由などで退職が相次ぎ、半分以下になり、残った職員には重い負担が圧し掛かっていた。
市役所では文房具を再利用したり、蛍光灯の本数を減らして節約に努めている。業者に委託していた庁内の清掃も職員が交代で行う。鈴木さんが見たのは、"税金のムダ使い"を徹底的に抑えた自治体の姿だった。「再建計画18年がたった後に何があるか…という、先も見えない中でやっているというつらさは、一緒に仕事をしていて感じる」と鈴木さんはいう。
財政破たんは、市民生活をも容赦なく直撃した。公共料金が値上がりしたのだ。それまで3000円だった市民税は3500円(個人均等割)に。10立方メートルあたり1470円だった下水道料金は2440円になった。
市営住宅で一人暮らしをする平尾ハル子さん(80)の収入は、月8万円の年金だけだ。食事も半額になっているものを買ってくるなどして節約をしている。「(財政破たんの影響が)ないと言ったらウソになる。ただグズグズ言わないだけ」と平尾さんは語る。
平尾さんが通っていた市民病院も民営になった。骨に持病がある平尾さんは整形外科に通っているが、これまでいた常勤の医師が非常勤となり、診察は週1回だけになった。
市役所では経費節減のため、真冬でも夕方4時過ぎには暖房が止められる。人手不足もあり、職員は厚着をして連日遅くまで残業を続けていた。