

2008年7月4日
二酸化炭素など、温暖化ガスの排出削減を定めた京都議定書。日本が課せられた削減目標は、1990年比でマイナス6%だ。国土の3分の2にあたる2500万ヘクタールもの森林を持つ日本。実は、この森林こそが目標達成の鍵を握っているのだ―――。
森林は光合成により、大気中の二酸化炭素を吸収する働きを持つ。この特性を活かし、日本は6%削減目標のうち3.8%分を森林吸収でカウントすることが認められている。
現在、急ピッチで進められているのが「間伐作業」。京都議定書では、1990年以降に整備された森林だけが吸収量にカウントされるためだ。スギやヒノキなどの人工林は、成長に応じて"間伐"を行うことで森林の中に光が差し込み、残った樹木が大きく強く育つ。一方、間伐を行わなければ、雪の重みだけでも倒れてしまう痩せた弱い木となり、森林全体の成長が止まる。いま多くの森林がこのような危機的状況にあるのだ。
それにも関わらず、間伐は計画通りに進んでいない。2006年度の森林の二酸化炭素吸収量は、目標4767万トン(3.8%)に対して3790万トン(3.0%)と、予定を大幅に下回っている。間伐が進まない原因は林業の低迷だ。外国産の安い輸入材に押され、国産材の価格が低迷し、50年前に44万人いた林業従事者は、わずか5万人にまで減った。
荒れ果てた森林とは対照的に、全国各地には大規模林道が整備され、林野行政が抱える借金は1兆3000億円にも上る。
行き詰った林業を目の前にして、何ら手を打つことができなかった行政―――。国はようやく今、間伐費用の半額補助を打ち出したが、所有者の協力はなかなか得ることができない。
しかし、世界的な木材需要の高まりを受けて、海外から木材を安く大量に買えた時代は終わろうとしている。国産材が見直されつつある今、切るだけに終わらない新しい林業の必要性を専門家は指摘する。森林吸収に詳しい日本大学大学院の小林紀之教授は「国産材をもっと使っていけるか、という道筋を今のうちにつける必要がある。例えば、紙についても間伐材の紙を優先的に使うとか、公共工事には木材を使う場合にも間伐材を優先的に使うとか、様々な社会全体を取り込む施策が必要だと思う」と語る。
高知県馬路村は1000メートル級の山々に囲まれた人口1200人足らずの小さな村だ。