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2008年7月24日

北京五輪"テロ警戒"の余波〜途絶えた難病の薬

北京五輪"テロ警戒"の余波〜途絶えた難病の薬

目前に迫った北京オリンピック。中国ではテロ対策などの警備の強化が続くが、その余波が日本国内の難病患者に影響を与えている。

熊本大学付属病院に入院している21歳の森下哉美(かなみ)さんは、「亜急性硬化性全脳症=SSPE」という国内に150人しかいない難病と闘っている。しかし薬が手に入らなくなり、治療をストップせざるを得ない状況になっている。
薬の名は、抗ウイルス剤の液体注射薬「リバビリン」。SSPEの治療には、C型肝炎の治療薬として知られるインターフェロンとリバビリンの併用が有効なのだという。今月11日、手元に残る最後の薬が哉美さんに投与された―――。

このリバビリンは、日本では認可されていない。そのため、担当医師が中国の製薬会社から個人輸入という形で取り寄せている。哉美さんの主治医である熊本大学付属病院の野村恵子医師のもとに先月末、突然、製薬会社から連絡が入った。「(リバビリンを)いったん送ったのだけど、それが戻ってきたと。オリンピックがある影響でテロなどを懸念して、液体の輸出入を禁じているようだと(伝えてきた)。それで初めて輸入できないことがわかった」と野村医師はいう。

北京市内にある郵便局では、カウンターで係員が客の荷物を空けて厳重にチェックしている。爆発物の原材料を封じ込めてテロを防ぐため、6月1日から10月31日まで粉末や液体物の扱いを一切禁止しているのだ。製薬会社による通常の輸出入は例外とされるが、個人輸入はできない状況だという。

SSPEは麻疹のウイルスが脳の組織に残り、数年後に発症する脳炎の病気だ。髄液を作る部分が拡大し、脳が萎縮。さまざまな症状をきたす。哉美さんは11歳のときにSSPEを発症した。そのとき医者には余命3カ月といわれたという。しかし、リバビリンの投与を始めてから症状が改善。今はほぼ寝たきりの状態だが、養護学校にも3年間通うことができた。

北京オリンピックの余波で、危機に瀕しているのは哉美さんだけではない。現在、リバビリン治療で症状の悪化を食い止めている患者は全国で14人。いずれも中国から薬を取り寄せていて、在庫切れが近づいている。

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