

2008年7月15日
愛媛県伊方町では、得体の知れない現象に悩まされている人がいる。
ある家では、締め切っているにも関わらず突然、内戸が鳴り出した―――。
この家から約250mの所には風力発電の風車がある。
また別の家では、男性が無意識のうちに体が動き出すという―――。
この家は、風車から約400mの距離にある。
さらに、同じような現象は愛知県でも起きていた。
風力発電の巨大な風車から350mの場所に住むある一家は、夜眠れないと自宅から車で15分ほど離れたアパートに避難する。こんな不自由な生活が去年の7月から続いているのだ。
風車の立つこれらの地域で、極めて風車に近くに住む人たちに影響が出始めている。そして、同じ距離に住む人の中でも、被害を訴える人と被害の無い人がいる。
こうした問題に古くから関わっている元和歌山赤十字病院の汐見文隆医師に、20基の風車が立つ愛媛県伊方町三崎地区を見てもらった。「普通、騒音で戸がガタつくことはない。しかし、低周波音ならガタつかせる」と汐見医師はいう。
低周波音とは、人の耳では聞き取りにくい低い音のことを言う。しかし音が聞こえなくても空気振動が発生し、波紋のように広がる。家のガタつかせたのは、この空気振動だと考えられる。空気振動は家の中にも入り、浴び続けることで健康被害を起こすことがあるという。
クリーンエネルギーとして注目される風力発電。そのものに問題はないが、住宅から近すぎる場所ではこうした訴えをする人もいる。
問題が起きている愛媛県伊方町の住宅で測定をおこなった。
環境省が被害の目安とする参照値。音の高さごとに大きさを示すデシベルで参照値が決められているが、測定ではどの周波数でも参照値を下回っていた。
しかし、それにも関わらず多くの住民が苦しんでいるのはなぜか?
測定結果を分析した汐見医師は、あることに気が付いた―――。愛媛県伊方町の住宅に近い風車は現在、朝8時から夕方6時までと稼動が制限されている。汐見医師は着目したのは、空気振動の強さの差だった。風車が動いているときは、止まっているときよりも20〜30倍の空気振動が起こっている。この空気振動が耳や頭蓋骨などを揺らし、被害を出しているのではと推測する。