

2008年9月4日
少子化対策がなかなか進まない日本。そんな中、福井県は3年連続出生率を上げている。その原動力とは―――?
福井県福井市で4人の子どもを育てている義中曜子さんは、2歳になる4人目の娘・渚ちゃんの育児には、ほとんどお金がかかっていないという。福井県が3人目以降の子どもの育児費用を負担しているためだ。現在、通っている保育園の費用のほか、生まれる前の妊娠検査費や医療費(3歳まで)もすべて無料だ。1年間で約134万円も家計負担が軽減されるという。
福井県健康福祉部・子ども家庭課の欠戸郁子課長補佐は「3人目が生まれることで人口が増える。合計特殊出生率(女性が一生に生む子どもの数)も2.07人以上ないと人口が増えていかない。2人ではダメ」と語る。
保育園の帰り、義中さんが訪れたのは乳幼児専用の一時保育所「ひだまりの家」だ。ここも3人目以降は無料で、冠婚葬祭や急に仕事が入ったときなど、気軽に預けることができる。核家族化が進む中、福井では高齢者の力が子育てに生かされている。「ひだまりの家」のスタッフは全員、市のシルバー人材センターから派遣された高齢者で、ボランティア感覚で保育にあたっている。
「なんで3人目の出産を迷うかというと、経済的な面でどうしようと考える人が多いと思う。地区全体が子育てを応援してくれているような環境があるのは嬉しい」と義中さんはいう。
出生率のさらなる上昇を狙う福井県。今、企業を巻き込んだ新たなプロジェクトに挑んでいる。県が取り組んでいるのは「父親の子育てを応援する企業」の促進だ。残業をなくすなどの職場環境を作っている会社を調査し、表彰を行っている。さらに、県は表彰企業に対して融資制度を利用する際の保証料を無料にするなどの特典をつけ、普及を促している。
この日、県の職員が足を運んだのは老舗の菓子メーカー「吉村甘露堂」。この会社では、男性社員に育児休業制度を奨励している。「育児休業が終わって帰ってくると、すごい明るい顔をして来る。(仕事に対する)価値観も変わっていくんじゃないか」と吉村文雄社長はいう。
また福井県の女性の就業率は日本一で、共働き世帯の割合も全国でトップだ。子育てをしながら働きやすい環境が整っているためだ。