

2008年10月3日
ロシアの極東に位置するサハリン。その最南端の港・コルサコフにロシア国境沿岸警備隊の基地がある。基地内には機密事項も多いため、撮影も制限される。これまで密漁を取り締まる様子は外国メディアに非公開だったが、今回初めて警備艇に乗り込んでの6日間の撮影が許可された。
全長30m、排水量300tの「警備艇 第075」は小型の警備艇だが、射程10kmの76ミリ単装両用砲などの重火器を搭載する武装艦だ。日本と海を挟んで隣接するサハリン及びカムチャツカ洋上での違法操業や海上警備に睨みを利かせる。この船には艦長以下、漁業調整官、調理師ら30人が乗船していて、交代で休憩をとって24時間体制で警備する。
密漁により、正規に税関を通さずに無断で国外に持ち出される魚介類は多い。ロシアからの輸出量(32万4800t)と各国の輸入量(130万300t)を比較すると、約100tもの開きがあるという。【ロシア水産白書2006年】
警備艇に乗船してから3時間―――密漁者がいるという情報が入り、船は全速力で現場に向かった。レーダーに捉えられた密漁船と思しき船影は古びた漁船で、カニ漁などにも使われる型だった。この船には、掲揚が義務付けられている国旗が見当たらない。「密漁船か!?」と隊員たちの顔に緊張が走る。
違法に収穫されたカニが入っていないか、船倉を開けて臨検する隊員たち―――。船にはカニを入れるカゴが多く積まれていた。甲板長によると、この船はロシアから来たという。
臨検の結果、違法は認められなかった。
小さい船は、警備艇が到着するまでのわずかの間にカニを海に廃棄し、証拠隠滅を図るので拿捕するのは難しいという。
ロシア連邦保安庁・サハリン国境沿岸警備局のブルラーカ局長は「(密漁者に多いのは)主に外国籍の船に乗ったロシア連邦の国籍の人たちで、船籍は"カンボジア""ベリーズ""リベリア"などだ」という。密漁船として拿捕できる条件は『許可なくカニ10kg以上を積んでいる』か『カニを捕獲するカゴの数が船員数の5倍以上』であることだ。逮捕者は、最高で9年の禁固刑となる。
密漁者のほとんどはロシア人で、かつてマフィアの下で密漁に関わったという男は「漁獲の割り当ては高価で買えない。ちょこまか密漁したほうが金になる。