

2010年10月15日
高齢化による医療費の増大で、ついに、日本の2009年度の医療費は、35兆円を突破した。政府は、医療を産業として強化することを打ち出し、今年6月、新成長戦略の目玉に“外国人患者の受け入れ”を盛り込んだ。最先端医療技術を誇る日本に外国人患者を呼び込み、経済の活性化につなげたい考えだ。
上海から徳島空港に降り立ったチャーター便には、中国からツアーでやってきたIT企業経営者ら4人の姿があった。目的は観光だけでなく、検診のためだ。日本で観光と健康診断を組み合わせた“医療ツーリズム”の試みが始まっている。彼らは、今回、徳島県の川島病院で糖尿病や心臓の検査を受ける。中国語には、県内の大学などから通訳を集め、対応した。病院側は、外国からの患者受け入れで医療収入を伸ばしたい考えで、企画した徳島県でも期待を寄せる。日本の医療は、ツアー客からの評判は上々だった。「日本の医師と看護師は職務に忠実で献身的だった」「今回の検査はすばらしかった」と話す。しかし、今回はあくまでも治療ではなく、検診だけ。次のツアーの予定は立っていない。川島病院の野間喜彦医師は「常にやっていくとなると、日常診療に影響しないでやるというのは困難。収益が上がるようなことをするのは非常に大変」と話す。
日本の隣、韓国でも、高齢化などによる医療費の増大が深刻になっている。韓国の李明博(イ・ミョンバク)政権は、去年5月から外国人向け医療ビザの発給を始めるなど、医療を次の産業として後押ししている。ソウルにある脊髄の専門病院・ウリドゥル病院。ここには、世界中から患者が集まってくる。外国人は保険適用外だが、去年は高度な医療を求めて、世界64カ国から約1200人もの外国人患者が訪れた。この病院では、海外から送られたレントゲン写真などを無料で診断、治療方法や入院日数などを事前に知らせてくれる。病院に常駐する英語、日本語、ロシア語などの専門職員は、医療用語も使いこなす。さらに病院食では、それぞれの患者の国に合わせたメニューや食材を用意してくれる。また、この病院は、金浦空港に隣接していて、病室からは滑走路が見える。ウリドゥル病院の張志秀(ジャン・ジス)院長は「立地は外国人患者を誘致するための長期的な戦略だ」という。ウリドゥル病院がいま、マーケットとして最も注目しているのが極東ロシアだ。