

2010年10月27日
全国各地で相次ぐ人里でのクマの出没。日本全国でツキノワグマは1万〜1万6000頭生息しているとみられているが、今年はすでに約2000頭以上(番組調べ)が射殺された。地域によっては、絶滅危惧種に指定されているツキノワグマ。駆除ではなく、クマとの共存を目指している場所を取材した。
福井県勝山市では、クマによる被害が相次いでいる。今月12日、デイケア施設の女性看護師が出勤後、玄関から侵入してきたクマと遭遇。全治3週間の重傷を負った。クマはそのまま施設内に居座り続けた後、翌朝、射殺された。女性がクマに襲われてから1週間以上が経った今も、住宅街には毎日、クマが出続けている。「毎日クマが出るのは初めて」と地元住民は言う。デイケア施設のすぐ向かいに住む大久保訓子さんの家の庭には、夜から朝にかけて連日、クマが通ってくるという。庭にカメラを仕掛けてみると、暗闇から「ガリガリ」という音がする。クマがクルミを食べていた。クマは、住民が寝起きする家のすぐ側まで接近していた。今月、勝山市のクマの目撃件数は、役場に通報があったものだけで106件。捕獲など合わせると合計で134件にも及ぶ。なぜ、この一帯でクマが出没し続けるのか。福井県自然保護センターでは、クマにGPS装置を取り付け、行動調査を行った。ドングリが凶作の年、冬眠前のクマは、人里に下り集落のすぐ側で長期間滞在。夜集落を徘徊、朝再び隠れることを繰り返すため、同時多発的にクマが出没し続けるという。福井自然研修センターの水谷瑞希農学博士は、「集落付近に2週間滞在した事例もある。そこに誘引物となる餌がある限り、出没が続いてしまう」と話す。
兵庫県宍粟市。人里に滞在したクマによる被害で、幸福重信さん(73)の運営するリンゴ園が倒産寸前まで追い詰められた。ドングリが凶作だった2004年、クマが次々とリンゴ園に侵入。クマは、隣接する杉林に身を隠しながら6日間でリンゴを全滅させ、1000万円もの被害を出した。「戦争だ。あらゆる手段でクマを殺してしまう以外には終わらない」と思ったと話す。しかし、幸福さんは戦争ではなく、共生の道を選んだ。幸福さんがまず取り組んだのは、杉林の手入れ。経済的な価値がなくなり、放置されていた杉林は、クマの隠れ場所だった。