

2010年10月22日
住人が亡くなり、住み手がいなくなった家を遺族らからの依頼を受けて整理する業者“遺品整理屋”のニーズが高まっている。その背景にあるのは、いま、大きな社会問題となっている独居老人などの孤独死だ。誰にも看取られることもなく、亡くなっている人々には、各々どのような事情があったのか。遺品整理屋の目を通して増え続ける孤独死の現状を考える。
遺品整理業者の「キーパーズ」の青山耕三東京支店長らは、築40年以上になる東京都内の公営アパートにいた。3Kの部屋は無秩序に散らかり、食品のトレーや衣類が散乱。部屋のいたるところに小銭を入れた瓶が置かれている。室内は、まるで時が止まってしまったかのようだ。部屋の主である73歳の男性は、一人で息絶えているところを発見された。近隣住民から異臭がするとの通報を受け、警察と管理人が室内に入ったところ、男性は床に横たわっていた。テレビも照明もついたままだった。死後約10日、病死とみられている。今回の依頼者は、亡くなった男性の長女(40代)だ。長女は「最後に会ったのは、今年の8月頃。孤独死させて腐敗までおきてからの発見というのは…」と涙ぐむ。男性は、30年ほど前に妻と離婚し、その後、長女も独立。ここ12年、一人暮らしをしていた。男性は、口下手で、人付き合いも苦手だった。3年前に仕事をやめて以来、引きこもりがちだったという。長女は、時々様子を見に来ていたが、ここ数年は、部屋に入れてもらえなかったという。室内は荒れ放題で、どこに何があるのかもわからない。そんな中、古いアルバムが見つかった。そこには、男性の若かりし頃の写真だけでなく、家族3人の写真もあった。長女は、両親が離婚する前の写真は、すべて処分して残っていないと聞かされていたため、思わず手が止まる。作業は5時間あまりで終了し、男性が愛用していためがねやマグカップが長女に手渡された。電化製品などは、リサイクルに回され、作業費用は、1DKで約10万円、3DKでは30万円前後になるという。長女は片付け終了後、「思いもしないものが出てきた。あれが唯一の救い」と語った。
10月4日、キーパーズの支店内に設けられた祭壇で、遺品の合同供養が営まれた。倉庫の一角に設けられた祭壇には、17人分の遺品が並ぶ。