

2010年10月29日
11月2日の中間選挙で苦戦が予想される中、オバマ米大統領は、中東和平という外交の最重要課題でポイントを挙げたいところだ。しかし、支持率が低迷するオバマ政権に中東和平を推進させる力はあるのか。今なお過酷な現実に直面しているパレスチナ・ガザ地区を取材した。
乾いた大地が続くガザ地区・南部の町ラファ。地上ではガザとエジプトを隔てる境界が10kmにわたり続いている。そこに立ち並ぶテント群。一見、難民キャンプのように見えるが、実は、その一つ一つが地下のトンネルの入り口になっている。ガザとエジプト間、数百メートルを結び、約1000本あるという。トンネルは、密輸のためにエジプト側から掘られたものだ。密輸されるのは建築資材、食料や日用品、燃料に至るまで、ガザの人々の生活に必要なものすべてと言っても過言ではない。密輸トンネルの現場監督は、「トンネルはガザの人々にとって“命”そのものだ」と話す。なぜ、人々は、密輸トンネルに頼らなければならないのか。2007年6月、イスラエルせん滅を掲げるイスラム原理主義組織・ハマスが、ガザを武力制圧。イスラエルは対抗措置として、米など必要最小限の食料、医療品を除き、ガザへの物資搬入を原則禁止した。事実上の経済封鎖だった。陸の孤島となったガザを、人々は“天井のない監獄”と呼ぶ。密輸トンネルは、監獄で生き延びるための人々の知恵だった。今年7月、ガザ市内に、密輸品だけを扱うショッピングモールがオープンした。そこには、洋服や化粧品、おもちゃに至るまで、ありとあらゆるものが並べられている。ジュースの缶や瓶には、泥が付いているものもあり、トンネルの中を引きずられたことが明らかなものが売られている。街中の市場も例外ではなく、魚や肉などの生鮮食品など、日々の生活に欠かせないものもトンネルを通じて運ばれてくる。しかし、価格が高い。イスラエルによる経済封鎖は7月から電化製品など一部緩和されたが、生活は依然厳しい。包囲網は海にも及び、漁が許されるのは沖合3キロまで。沿岸では、イスラエルの軍艦が『武器密輸を取り締まる』として、にらみを利かせている。イスラエル軍の攻撃で、命を落とす漁師が後を絶たない。命がけの出漁だ。
絶望の淵にあるガザの人々だったが、2008年、かすかな希望の光を見た。世界を巻き込んだオバマ旋風。