

2010年11月11日
今年、度重なるゲリラ豪雨や活発化した前線による大雨により、道路が崩落する災害が相次いだ。国土交通省によると、年間3000件ほどある道路災害のうち、人工的に平坦な地面を作る“盛土”で起きる災害が、900件近くを占めているという。
7月18日夜、和歌山県橋本市の農道が突然、崩落。バイクで走行していた男性が巻き込まれた。道路は完成してから間もなく、雨も数日前からほとんど降っていなかったという。現場を専門家と訪れると、崩れた斜面には、土砂に混じって巨大なアスファルトの塊が散乱。晴天が続いていたにも関わらず、土砂は水を含み、沼のような状態になっていた。京都大学防災研究所・斜面災害研究センターの釜井俊孝教授は「日照りが続いて枯れる地下水もあるが、恒常的に出る地下水がある」という。染み出してくる地下水。その秘密は現場の地形にあった。40年ほど前の航空写真と崩落した道路を重ね合わせてみると、道路は、棚田がある谷を渡って造られているのがわかる。今回、谷が集まった地点に架けられた道路が崩落した。このような谷の地形を埋めて平坦な土地を作ることを“谷埋め盛土”という。国土の約7割が山間部である日本では、特に戦後の高度経済成長以降、谷や斜面を盛土して土地の造成を行い、道路などを造ってきた。こうした谷埋め盛土が、土砂災害の大きな要因の一つとなっている。
2005年9月、3人が亡くなった山口県岩国市の山陽自動車道崩落事故。台風接近に伴う豪雨で、谷埋め盛土が長さ約50m、高さ約23mに渡って崩落した。2009年8月、駿河湾を震源としたマグニチュード6.5の地震が発生。東名高速道路・牧ノ原サービスエリア近くが約40mに渡り、崩落した。崩落原因は、溜まった地下水によって、盛土の強度が低下していたところに、地震が起きたためといわれている。
なぜ、谷埋め盛土は、水の影響を受けやすいのか。中央大学理工学部の土質研究室の協力で、谷地形をかたどった斜面に谷埋め盛土と、平坦な斜面に盛土した2つの斜面模型を並べて制作し、均等に水を降らせてどのような違いが出るのか、実験を行った。30分を過ぎると、水は次第に谷の底へと集まり始めた。45分後、谷埋め盛土斜面下部が崩れ、次第に亀裂が広がり、間もなく斜面全体が崩れた。