

2010年11月10日
結核は、過去の病気と思われがちだが、長引く不況の影響が、結核治療の現場を襲っている。
結核は、感染して発病するのは約10人に1人。感染しても必ず発症するわけではないが、今でも年間約2万5000人の結核患者が生まれている。予防対策として行われるBCG接種は、有効期間が10〜15年といわれ、成人になり、疲労やストレスで免疫力が落ちると発症することもある。
人口10万人あたりの結核患者数を示す罹患率が、全国で最も高い大阪。結核指定機関の「大阪府立呼吸器・アレルギー医療センター」には、現在、80人以上の結核患者が入院している。永井崇之医師は、「発見が遅れ、重症化して肺の構造が非常に影響を受けてしまってから病院に来るケースが目立つ」と指摘する。結核患者は、毎日、薬を飲み続ければ、通常は2〜3カ月で退院できる。吉田裕昭さん(仮名・39)は、入院して4カ月になるが、病状がよくならない。入院時の体重は、通常より20kgも減少。吉田さんの肺は、結核菌に侵され、重症化していた。吉田さんは、父親と自宅で金属加工業を営んでいたが、今年になって仕事が全くなくなったため、月約2万5000円の国民健康保険が払えず、診察に行けなかった。吉田さんは結核だとわからないまま、自宅で4カ月間、寝込んでいた。家族は、市販の風邪薬を与えて見守るだけだった。働き手を失った家族は、ギリギリまで生活を切り詰めて過ごしている。少しでも生活費の足しになればと、父親は空き缶集めを始めた。病院まで片道800円かかるため、見舞いにも行けず、息子の退院を待っている。販売業をしていた58歳の男性は、仕事を休むことができず、体重が10kgも減って、病院に運び込まれた。「この年齢で仕事を失ったら、次はない」と我慢していた理由を話す。重症化の影響で、入院して5カ月になるが、病状はよくならない。退院後も仕事が見つかるかどうか心配だという。
日雇い労働者の町、通称あいりん地域は、結核の罹患率が全国平均の約30倍だ。結核蔓延を防ぐため、大阪市は独自に月3回のレントゲン検診を無料で行っている。検診を行った日、38人の受診者から1人の結核患者が発見され、急遽、精密検査をすることになった。早期発見という入り口の対策だけでなく、退院後の出口の対策も重要となってくる。NPOスタッフが退院後の患者を訪問し、完治するまで服薬を見届ける。