

2010年11月19日
2001年10月にアメリカが始めたアフガニスタン戦争から9年。日本がこれまでしてきた支援、そして今後約束している支援の総額は、約65億ドルにも及ぶ。その使い道とはどうなっているのか。フリージャーナリストの西谷文和氏が現地を取材した。
日本の支援は、主に警察官の給料などに充てられている。新人警察官の訓練の指導を行っているのは、アメリカ軍やISAF=国際治安支援部隊だ。訓練にあたるアメリカ兵の中には、かつて日本の基地に配属されていた者もいる。新人警察官は、実弾の射撃訓練や警棒の使い方の訓練など3カ月以上の研修・実践訓練を経て、各所に配属される。国際治安支援部隊は、来年10月までに警察官と兵士の数を現在の26万人から30万人にまで増強することを目標としている。来年7月にはアメリカ軍が撤退を開始し、治安悪化が予想される中、警察官や兵士の育成は喫緊の課題だ。しかし、訓練生の中には「我々アフガン人の給料は2万円ほどだが、外国兵士は30万円近くもらっている。差がありすぎる」と口にする者もいて、不満がくすぶっている。さらに、深刻な問題となっているのが、薬物汚染だ。アフガン各地の研修施設で、警察訓練生のうち、最大で41%から薬物の陽性反応が出たという(米政府監査院報告書から)。問われる治安部隊の“質”。こうした中、日本政府は、全警察官の給料の半分を賄っている。
徐々に開発が進む都市部の一角とは裏腹に改善の兆しが見えないのは、避難民の実情だ。寒さが本格化するにつれて、カブールの小児病院では、火傷患者が増えているという。カブール市内にあるインディラ・ガンジー子ども病院に入院していた10歳の少女は、全身の皮膚の30%に火傷を負い、皮膚の感覚の一部を失った。やかんを引っ掛けて熱湯を浴びてしまったという。この病院を訪れる火傷患者の約4分の1は、遊牧民や避難民キャンプで暮らす子どもたちだ。避難民キャンプには電気もガスもなく、火を直接扱う生活をしているため、子どもの火傷患者が増えるという。避難民キャンプで暮らすある母親は、「火を焚くのは子どもにとって危険だが、ガスボンベを買うお金がないから仕方ない」と話す。夜には氷点下近くまで冷え込むカブールでは、暖をとることすら危険を伴う。アフガニスタンで生まれた子どもの4人に1人は、5歳まで生きることができない。