

2010年11月25日
沖縄が目指す姿を描いた『21世紀ビジョン』。このなかで、県は、『基地は、経済活動を主として行っていない。本県の経済的な生産能力を抑制しており、経済的に不効率な土地利用となっている。県経済の潜在成長力を押し下げている』と、基地が沖縄経済にとってマイナスとの評価を初めて下した。1972年(本土復帰当時)の沖縄は、基地関連収入が県民所得の15%を占めていたが、今では、わずか5%まで下がっている。脱基地経済を掲げ、ビジネスでの自立を目指す沖縄。日本列島中心の地図では端にあるが、東アジア全体に視点を移すと、実は中心に位置し、アジアの主要都市から約4時間圏内だ。深夜の那覇空港には、国内とアジア各地の空港を一斉に飛び立った全日空の貨物専用機が、続々と集まってくる。全日空は、1年前、那覇空港を貨物機の中継基地として選んだ。現在、全日空は9つの貨物機を保有していて、そのうちの8機が、ほぼ毎晩、沖縄に集結する。その中身は、緊急の書類のほか、工場で組み立てに使う機械部品など、急ぎのものばかり。仕分けられた荷物は、行き先別のコンテナに積み込まれ、再び貨物機に載せられる。航空貨物はスピードが命。夜のうちに、それぞれの目的地へと飛び、翌朝には、アジア各地に届く。全日空貨物本部の黒田太津夫沖縄販売部長は「那覇空港は、飛行機で4時間圏内に満遍なくアジア主要都市をカバーできる。従来より半日から1日くらい早く荷物を運ぶことができる」と話す。那覇空港は、成長著しいアジアの活力を取り込むためには、絶好の立地だという。全日空は、新ターミナルを建設し、200人の新たな雇用も生まれた。現在、那覇空港の国際貨物取扱量は約80倍に増え、成田空港、関西空港に次いで国内第3位となっている。
『21世紀ビジョン』作りに携わった沖縄国際大学の富川盛武学長は「沖縄経済は将来どうあるべきか議論するとき。基地の雇用や消費があるが、それがどんどん展開するわけではない。国家の安全保障や思いやり予算の関連でしか金は落ちてこない」と話す。従来型の沖縄振興策も曲がり角に来ている。海岸を埋め立てて作った製造業向けの経済特区には、企業の誘致が進んでいない。かつて辺野古への基地建設の見返りに、1000億円規模の交付金が投じられた沖縄県北部地域では、多くのハコモノとその建設で膨らんだ巨額の借金が残った。