

2010年12月6日
がんの中で、最も死亡率の高い“肺がん”。最新の2009年データでは、53.7%。2位の胃がん39.8%、3位の大腸がん34%を大きく上回っている。肺がんは進行した状態で見つかることが多く、肺にはたくさんの血管やリンパ節があり、血流が豊富なので、転移しやすいため、死亡率が高いという。約30%を占めるのが、主に太い気管支のある中心部にできる扁平上皮がん。早い時期から、咳やたんなどの症状が出る。約50%は、主に末梢にできる腺がんで、初期は自覚症状がなく、転移しやすいといわれる。現在、治療の3本柱は手術、抗がん剤、放射線。中でも注目されるのが、放射線治療。がん細胞に放射線を当て破壊する。体を切らないので、高齢者など体力のない人にも負担が少ない。日本肺癌学会理事・東京医科大学の池田徳彦教授は「手術のほうが、完全に治すという部分ではまだ利があると考えるが、新しい当て方、種類の放射線が開発されてきた」と話す。
大阪市都島区にある『都島放射科クリニック』では、放射線治療の最新機器を導入している。治療ではX線を使うのだが、X線は体の表面付近で最も強く、中に入るほど弱まり、がんを突き抜ける。そのため強いX線を当てると、通り道の正常な細胞のほうが大きなダメージを負うという、非常に厄介な特徴がある。最新の治療では、1本の強いX線を数本に分けて角度を変え、がん細胞に当てる。結果、がん周辺に集中できるので、正常細胞のダメージが抑えられる。治療では、まず、肺のCT画像を元に、コンピューターで立体的に再現。実際のがんの大きさや形、位置を立体画像で確認し、これを元にX線をどう当てるか計算していく。また、X線は、フィルターでがんと同じ形に変形させることで、よりピンポイントに当てることが可能だ。(最大照射範囲は98mm×98mm)。乳がんが肺へ転移したという患者さんに行われた治療は、1回15分程度で、10日間X線を当てるだけ。治療直後に話を聞くと、「何も感じない。ガチャガチャという音がしたときに放射線が当たっているのかなと思うぐらい」という。肺がんの場合、入院、食事制限も必要なく、気をつけるのは、治療中に動かないようにすることだけ。数、大きさ、転移などの条件はあるが、保険も適用される治療だ。この治療でがんが小さくなった上妻守さん(75)。1年半前、検診で左肺のふちに約4cmのがんが見つかった。