

2010年12月8日
かつて出せば儲かると言われたガソリンスタンド。しかし、規制緩和により、ガソリン、石油の自由化が始まり、セルフサービスのガソリン販売も認可され、安く多く売る低価格競争時代に資金力のないガソリンスタンドは淘汰され始めた。東京都内では、この30年間に70%のガソリンスタンドが姿を消した。若者の車離れも拍車をかけている。
32年の営業に終止符を打った東京都足立区の「皆川商店・上沼田給油所」。給油所を支えてきた5人の従業員も解雇された。営業最終日、株式会社皆川商店の皆川正博代表取締役は従業員に向かって「自分の力のなさがこういう結果になってしまった。申し訳ありません」と頭を下げた。父親から受け継いだ大切なガソリンスタンド。皆川代表取締役は「ここ数年で販売もだいぶ減った。少しならなんとかなったが、半分以上もボリュームが減った。会社が対応できなかった」と話す。上沼田給油所は、1978年11月に開業。当時、店の前には行列ができ、ガソリンは飛ぶように売れて、今より3倍以上の売り上げがあったという。客の8割は地域住民。ここは、単に給油だけのためのガソリンスタンドではなかった。交通量が多いため、横断歩道を渡る子供たちに危険が及ばないようにと、ガソリンスタンドの敷地内には安全スペースが作られていた。近くに住む児童は「安心だから、ここ(安全スペース)で待っていた」と話す。実は、全国の約9割のガソリンスタンドで、子供たちが事件や事故に巻き込まれないように見守る、社会活動をしている。ある保護者は「ここが閉まってしまうと暗くなる。心配」という。32年間に渡って地域を照らし続けた給油所の灯り。10月20日、その役割を終えた。
なくなるスタンドもあれば、息を吹き返したガソリンスタンドもある。長野県と岐阜県の県境に位置する長野県阿智村園原地区。この地区唯一のガソリンスタンドが、今年4月に閉店した。四方を山に囲まれたこの集落の交通手段は車だけ。住民は、燃料を入れるためだけに二つの峠を越え、往復30kmを走らなければならない。消防法令が改正され、地下タンクの使用期間が40年を超えるスタンドなどは、2年以内に整備することが義務付けられている。整備にかかる費用は、約2000万円。資金力のないスタンドは、廃業を余儀なくされる。園原地区には、約300人が暮らしている。4割が65歳以上の高齢者だ。