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2011年8月9日

円高長期化も・・・海外移転の現状

円高長期化も・・・海外移転の現状

東日本大震災の影響や歴史的な円高、少子高齢化による市場の縮小により、海外移転を進める企業が増えている。しかし、日本のものつくりを支えている現場では、海外に出るに出られない事情がある。海外移転を決める企業、国内に残る企業。それぞれの現状を取材した。

埼玉県所沢市でメッキ加工や防災機器の製造を行っている『ワイピーシステム』の吉田英生社長は、中国で合弁会社を設立。今月4日、中国進出を前に、上海で新製品の最終調整を行っていた。来月からシートベルトの切断機能が付いた消火器を生産する考えだ。現地工場の敷地面積は、2000平方メートル。30メートルに及ぶ生産ラインの設置費用は、日本の約7分の1だという。吉田社長は「機械はほとんど現地調達。いま、あらゆるもののレベルが上がっていて、中国の調達で十分間に合う。これから日本の将来はマーケットが縮小していくと考えざるを得ない。また、円高の影響は大きい」と話す。ワイピーシステムの従業員は23人。このうち数人を技術指導員として中国に派遣し、独自の製品で市場の拡大を目指す。一方、中国側もこうした日本の技術を積極的に取り込みたい考えだ。上海高智科技発展有限公司の劉幸偕社長は、「震災後、日本企業にとっては大きな試練の時。中国企業との合弁は、今後、日本企業にとって発展していく形の一つになる」と話す。吉田社長は、今回の中国進出で初年度に約10億円の売り上げを目指す。「中国を足がかりにし、ASEAN諸国まで視野を広げて、台湾、タイ、ベトナムなどの展開をどんどん進めていこうと思う」と吉田社長は話す。

日本のものつくりを支える現場では、海外移転についてジレンマを抱えている。東京都大田区にある『中後製作所』。自動改札や防災無線などの部品を製造している。従業員10人のこの会社では、今後の日本での操業に大きな懸念を抱きつつも、実際に海外移転することは現実的ではないという。中後製作所の中後正明社長は「海外に出られるものなら出たい。でも、こちらから人材を送り込んで向こうで立ち上げないといけない。少ない人材ではそこまでやれるかどうかは疑問」と話す。長年、金属部品を作り続けている『鷲津製作所』の伊奈勲社長も「中小企業でお金がいっぱいある会社は少ない。簡単に海外に行くといっても難しい」という。さらに、中小企業を苦しめる現実がある。

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