

2011年8月11日
今後の原発について考えるとき、避けては通れない“核のゴミ”の問題がある。全国の原発から出る使用済み核燃料からプルトニウムを抽出することになっている再処理。その結果出るのが高レベル放射性廃棄物、“核のゴミ”だ。現在、日本国内にはこれを埋める場所が決まっていない。4年前、高知県東洋町の町長が処分場の誘致を唱えたが、反対運動で頓挫。それ以降、手を挙げた自治体はない。こうしたなか、人口2600人の酪農の町、北海道の幌延町にある施設の建設が進んでいる。
2005年から始まった『幌延深地層研究センター』の掘削工事。実際に深く穴を掘って、地下処分場の安全性を研究調査する方法などを研究するという施設だ。予算は約600億円と見積もられている。東、西、換気用の合計3本の立杭を深さ約500mまで掘る予定だ。『核廃棄物を持ち込まない』という約束で建設は進められているが、住民の間では、結局、最終処分場になるのではないかという疑念が渦巻いている。
この研究施設の内部に入ることが許可された。潜るのは、深さ250mに至る東立杭、その地下140m地点。ここでは、岩盤の状態や放射性物質を運びかねない地下水の研究を行っている。日本原子力研究開発機構の青木和弘研究主席は「ここで勉強したものを実際に処分場が決まったときに適用するため、調査する方法と手順が大事」と話す。高レベル放射性廃棄物は、溶かしたガラスと混ぜてステンレス容器に入れ、50年ほど冷やす。そのあと、金属容器や粘土のブロックで取り囲み、人工のバリアを作り、300mより深い地下処分場に埋めるが、安全になるまで10万年かかるとされる。地下140mの地層。ここから二枚貝の化石が出てくる。この場所は、かつて海で、堆積して地層ができた。堆積岩は一般に軟らかいが、放射性物質を吸着するという。最終処分場を決めるには、長い将来に渡って地層の状態を予測しなければならない。青木研究主席は、調査によって、地殻変動で地下水が流れ込んで放射性物質が地表に出る可能性があるという結果を得た場合、その場所は処分場にしてはいけないという。しかし、「現実的には無限にお金があるわけではない。そこは、どういうところで合意を得るかということだと思う」と話す。今ある使用済み核燃料を高レベル放射性廃棄物の容器に換算すると、約2万4000本に上る。