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2011年10月10日

新薬を使いたい・・・患者の声阻む“ドラッグラグ”

新薬を使いたい・・・患者の声阻む“ドラッグラグ”

世界で薬を開発する“創薬国”といわれるのは、アメリカやドイツ、スイスといった欧州の数カ国と日本だけにも関わらず、日本では海外で作られた薬がなかなか使えるようにならない。この問題が『ドラッグラグ』だ。がんと闘う現場では、ひとつでも多くの薬を使えるようにしてほしいと願う声が相次いでいる。

島田多壽子さん(70)は、卵巣がんのため、抗がん剤治療を3年間半続けている。卵巣がんは、他のがんと比べ、再発の可能性が高い。抗がん剤は、使い続けていると、患者の身体に耐性ができて効かなくなることがあるため、再発の都度、新たに抗がん剤の種類を見直さなければならない。島田さんは再発を繰り返していたため、薬が効かなくなる不安を訴えていた。不安は的中。抗がん剤が効いておらず、がんが大きくなっていた。島田さんは「お腹の中に、一番大きいので2cm7mmのがんが出来ていた。新しい抗がん剤で口内炎と皮膚が全部むけてしまった。今回ばかりは落ち込んだ」と話す。国内で新たに使うことができる抗がん剤の数は限られており、その数は欧米に比べると少ない。日生病院・産婦人科の佐伯典厚医師は「効果はやってみないとわからないけど、使える薬があるということは、患者さんにとって目標を持てるいい事だと思う。それが全世界で認められているということであれば、日本でもそれは当然使いたい」と話す。

なぜ、海外で使われている新たな薬が、国内で承認されるまでに時間がかかるのか。新薬は、製薬会社が治験に着手し、患者に試験的に薬を投与して、その安全性や効果を確認する。その結果が、国の審査を経て承認され、初めて世に出る。しかし、日本での治験は欧米に比べ費用や時間がかかり、敬遠されがちだという。東京大学大学院薬学系研究科の小野俊介准教授は、「アメリカの人口は3億人、ヨーロッパは4億人。日本は1億人。患者の数が少なければ、臨床試験、治験はやりにくい。マーケットの規模が日本は小さい。結果、日本に入ってくる薬が遅れ、患者へのアクセスも遅くなる」と指摘する。「海外の新薬を国内でも使えるように」というがん患者らの訴えに、厚生労働省も動き出した。厚生労働省は、去年2月、専門家会議を立ち上げた。この専門家会議で、医療現場に必要だと認めた薬は、製薬会社に治験を行うよう促している。毎回、この会議を傍聴している片木美穂さん(37)。

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