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2011年10月24日

算数ドリルで生まれた“絆”

算数ドリルで生まれた“絆”

今年3月の東日本大震災で壊滅的な被害を受けた岩手県陸前高田市。市内3つの小学校も津波に襲われ、文房具や教材も流されてしまった。そこで、1人の教員が全国に教材の提供を呼びかけたところ、多くの申し出があった。そのなかに意外な名前があった。Jリーグの川崎フロンターレだ。呼びかけた広田小学校の濱口智先生は、「サッカーチームと教材、全く結びつかなくて、来た時びっくりした」と話す。実は、川崎市の113の小学校全てで、フロンターレ独自に作った“算数ドリル”が副教材として使用されている。フロンターレは、この算数ドリルを陸前高田市の9つの小学校に合計800冊寄贈。現在も授業で使われている。

高田小学校では、放課後、クラブ活動のために集まった子どもたちが楽しそうに算数ドリルをやっていた。ドリルの問題を見せてもらうと、『サッカーゴールを箱と考えて体積を求めましょう』など、サッカーや川崎市に絡めた問題ばかり。子どもたちは、この算数ドリルがきっかけで、一つ日常を取り戻したという。小学6年生の子どもを持つ戸羽幸輝さんは「被災しているのを言い訳にして、勉強しなくてもいいような流れになりつつあった。そういったなかで、フロンターレドリルが来た途端に勉強を熱心にやってくれた。ありがたい」と話す。しかし、プロのサッカーチームが、なぜ独自に算数ドリルを作っているのか。そこには、川崎市ならではの事情があった。東京都・横浜市という大都市に挟まれた川崎市。かつては、川崎球場を本拠地にしていたプロ野球のロッテが移転。サッカーのヴェルディ川崎も移転するなど、川崎市にはプロスポーツは根付かないといわれてきた。そのため、フロンターレは、市民とのふれあいをどこよりも大切にしている。選手自らが地元の銭湯の壁に絵を描いたり、保育園の子どもたちに本の読み聞かせもしていて、選手たちは、これらの活動を当然のこととして受け止めている。算数ドリルも、こうした地域密着の一環だった。

9月18日、ドリルが縁でフロンターレの選手全員が陸前高田市を訪れた。子どもたちとともに被災した町を見て回ったり、小学校でサッカー教室を開催した。サッカー教室には、市内から約100人の子どもたちが集まり、子どもたちは選手たちとヘディングやリフティングの練習やミニゲームをするなど、元気に走り回っていた。

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