

2011年11月1日
シンクロナイズドスイミング中国代表のヘッドコーチとして指導にあたる井村雅代さん(61)。今年4月から再び中国の指導を任され、ロンドン五輪を目指す。北京五輪では、着任から1年半で、中国を世界6位の座から一気に3位に導き、表彰台に乗せた。ロンドン五輪で金メダルを目指す勝負師・井村さんが着々と進める作戦とはどのようなものなのか。井村さんのコーチング哲学に宮嶋泰子アナウンサーが迫った。
井村さんは、1984年のロサンゼルス五輪でシンクロが正式種目として採用されて以来、日本のシンクロ界を牽引し、6度の五輪でメダルを獲得してきた。2001年の世界水泳福岡大会では、立花・武田のデュエットを、念願の世界一の座に押し上げた。2004年、アテネ五輪で銀メダルを獲得した後、「『シンクロは日本人には向かない種目だ』と片付けられるのは嫌だったから、何か方法があると追求し続け、挑戦し続けた30年間だった」と語っていた。その後、中国からの強い要請を受けて、2007年に中国代表ヘッドコーチに就任。外国人コーチとして、結果を求められる仕事だが、日本選手を教えてきた30年間とはまた違う手ごたえを感じたという。「中国を指導するようになって、コーチ力が上がった。審判員から点を取るための“突貫工事”もできるようになった」と話す。
実は、その突貫工事で世界のシンクロ関係者をあっと言わせたのが、今年7月に行われた世界水泳上海大会だった。井村さんがロンドン五輪を前に、再び中国を指導し始めた様子を見て、各国のコーチたちは戦々恐々。特に、これまで2位の座を守ってきたスペインは、中国の成長ぶりに心穏やかではない。中国といえば、双子の姉妹・蒋テイテイと文文が最も知られた選手だ。世界水泳上海大会でも、デュエットフリーでこの双子の姉妹が美しい鶴を演じ、スペインを押しのけて、堂々の銀メダルを獲得。ここまでは予想された出来事だった。ところが、中国の国内選手権で、双子を破った新デュエットが誕生。井村さんは、新しいデュエットをたった2カ月半の突貫工事で作り上げ、世界水泳上海大会に送り込んだ。チーム演技のメンバーから選ばれた黄雪辰と劉鴎。黄は、ソロの選手としても有望で、井村さんが「中国の顔になってほしい」と期待している選手で、ひょうきんものの劉は、中国代表のキャプテンだ。