

2011年12月1日
対テロ戦争の最前線と位置づけられていたパキスタンで反米デモが激化している。11月26日、アフガニスタンに展開するISAF=国際治安支援部隊がパキスタンの検問所を誤爆し、パキスタン兵士24人が犠牲となった。今年5月、国際テロ組織アルカイダの指導者、オサマ・ビンラディン氏殺害で関係が悪化しているなかでの誤爆。このアメリカとパキスタンの関係悪化の間隙を縫って、パキスタンへの影響を強めているのが中国だ。中国の影響が広がるパキスタン国内を取材した。
中国とパキスタンの国境では、はしゃぐ中国人観光客に、穏やかな表情で応えるパキスタンの国境警備兵の姿があった。この光景が、中国とパキスタンの蜜月関係を物語る。国境に繋がるカラコルムハイウェイ。周辺地域では商取引が盛んに行われ、中国の進出が猛烈な勢いで進んでいた。この一帯は、観光ルートを除けば、外国人の立ち入りに許可が必要な場所だが、街では、多くの中国人が闊歩している。軍事面においても、パキスタンと中国の密接な関係は進んでいた。中国の全面的な協力を得て、国内で生産されているパキスタン空軍の最新鋭機『JF−17』。最高速度はマッハ1.8といわれている。現在、空軍に配備されているJF−17は、約50機。中国の協力のもと、今後7〜8年の間に250機にまで増やす予定だという。
パキスタンは、政情不安定な国々に囲まれている。西にはイランとアフガニスタン。東のインドとは、カシミール地方の領有権をめぐって、一触即発の状態が続いている。そして中国。パキスタンは1947年の独立以降、常に軍事的な問題を抱えてきた。これまではアメリカとの関係を維持しながら、周辺国家とのバランスを保ってきたはずだった。そのパキスタンが、なぜ中国との急接近を選んだのか。パキスタン国防産業委員会のジェイヴド・カジ委員長は「アメリカは少しでも反感を持つとすぐ支援を打ち切り、『悪いが制裁を科すことにする。戦争に負けようと、その後、どうなろうと関係ない』という。中国は、そんなことはしない。中国がパキスタンの心強い味方であることに我々は感謝し、その友情を重んじている」と話す。パキスタン軍部は、アメリカよりも、中国こそが信用できる国だと考える。そして、アメリカへの不信感が決定的となったのは、国際テロ組織アルカイダの指導者、オサマ・ビンラディン氏の殺害だ。