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松山英樹が6バーディ奪い4位タイに浮上
4大メジャー初Vに「チャンスある」

第120回の「全米オープンゴルフ」は3日目のプレーを終え、ついにアンダーパーが3人に絞られた。ムービングデーとなった決勝ラウンド1日目は、大きくスコアを伸ばす選手がいる一方で、首位から出たパトリック・リード(アメリカ)が後半だけで8つスコアを落とすなど、やはり過酷な戦いとなっている。

そんななか、結果的にスコアはそのままとなった松山英樹はトータルイーブンパーの4位タイ。首位と5打差で運命の最終日に向かう。

1番をバーディ発進とした松山は、その直後の2番から連続ボギーを喫したが、そこから怒濤の3連続バーディ。7番をボギーとするも、後半に入ってからは12番、14番でバーディ。首位に肉薄したが、終盤の上がり4ホールでボギー一つにダブルボギー一つ。それでもなんとか踏ん張る形でファイナルラウンドへ望みをつないだ。

単独首位には6バーディ・1ボギーの「65」をマークしたマシュー・ウルフ(アメリカ)。メジャー大会2戦目、本大会は初出場の21歳がビッグタイトルに王手をかけている。2打差のトータル3アンダー・2位にブライソン・デシャンボー(アメリカ)。こちらもメジャー初優勝を目指し、最終日はウルフとともに最終組に入った。

ルイ・ウーストヘイゼン(南アフリカ)がトータル1アンダーの単独3位。トータルイーブンパーの4位タイに松山を含めザンダー・ショーフリー、ハリス・イングリッシュ(ともにアメリカ)がつけている。

ローリー・マキロイ(北アイルランド)は二つスコアを伸ばしトータル1オーバーの7位タイ。初日トップに立ったジャスティン・トーマス(アメリカ)は6つスコアを落とし、トータル4オーバーの17位タイに後退した。

世界ランキング1位のダスティン・ジョンソン(アメリカ)はトータル5オーバーの21位タイ。同2位のジョン・ラーム(スペイン)も6つ落とし、トータル7オーバー・31位タイまで順位を下げた。

日本勢では、石川遼が4つ落とし、トータル10オーバー・40位タイ。今平周吾はトータル13オーバーの55位タイに沈んでいる。

無観客で9月開催。異例ずくめの全米オープンもいよいよ大詰め。運命の最終ラウンドで、再びドラマが生まれることになる。

■3連続含む6バーディも後半失速
5打差逆転に「チャンスある」

超難関コースで松山英樹が粘りを見せた。首位と4打差の7位タイから出た第3ラウンドは、序盤からスコアが動いた。スタートの1番からセカンドショットを1メートルにつけてバーディ発進。直後は連続ボギーとなったが、4番から怒濤の3連続バーディで一気に2位タイに浮上。その後も14番までにスコアを伸ばしたが、後半4ホールで3つ落としホールアウト。首位とは5打差と開いたが、それでも松山は前を向いている。

「ショットが少し暴れてスコアに直結してしまった」と終盤の失速には反省の弁も飛び出すが、目つきは鋭いままだ。「今日だったのでまだ救いかなと思います。いいところと悪いところがはっきりしているので、それがすべていいところにいけば、明日チャンスがあるところで最後まで戦えるんじゃないかなと思います」。

本大会の最高成績は2017年の2位タイ。青木功が1980年に記録した単独2位に並ぶ同じ2位だが、“単独”と“タイ”の差を埋めて追い抜くには、優勝しかない。

「今日の前半のようなショットを打って、あとはパッティングをしっかり決められるように頑張りたい」。日本人男子の悲願、メジャー大会制覇まであと少し。何が起こるか分からない世界一過酷な大会のクライマックスが迫っている。

■石川遼と今平周吾は苦戦
「得られるものが多い」(石川)、「リズムに乗れなかった」(今平)

日本ツアーの日本人トップ2がともに苦戦した。33位タイから出た今平周吾は8つスコアを落とし、55位タイに後退。石川遼は4つ落としながらも順位は49位から40位タイに浮上。いずれも最終日の巻き返しを誓った。

「本当に得られるものが多い。このコースでプレーできるのは幸運。すべてを吸収できるように全力で向かっていきたいと思います」と大舞台での戦いを経験だけでは終わらせないと気合を込めた石川。実り多き4日間の集大成をみせつける構えだ。

一方の今平は、ショートパットのミスが大きく響いた。「ショットは風もそうだけど、調子もあまりよくなかった。1、2メートルのパーパットがなかなか決まらず、リズムに乗れなかった」とズルズル後退してしまった。「4日間で1番いいスコアで上がりたいと思います」と最後の力を振り絞り、難コースに立ち向かう。

■優勝すれば107年ぶりの初出場初優勝
胃がんの代理人に捧ぐ勝利目指すマシュー・ウルフ

首位スタートのパトリック・リード(アメリカ)が後半「43」を叩き大失速したのを尻目に、一気に順位を上げたのが昨年夏にプロ転向したばかりの21歳、マシュー・ウルフ(アメリカ)だ。6バーディ・1ボギーの「65」はこの日のベストスコア。2位に2打差をつける単独トップで、最終決戦に挑む。

足をばたつかせながらクラブを大きく振り上げる変則スイングが話題となっているウルフだが、緻密さに加え、運、メンタル面でも今大会は“持っている”。フェアウェイキープは14ホール中2ホールのみと苦しんだが、「幸いにも入ったところが、まだよかった」と、運にも恵まれた。

「全米オープンだからフェアウェイをキープしたい、安全にプレーしたいと思うホールがいくつもあるけど、僕はそう思わない。今は自分のゴルフ全体の調子がいいし、自分がいいと思ったことをやるだけ。自信があるときに逃げるようなことはしない。明日もそうするだけだ」

若さあふれる勢いでムービングデーを走り抜けたが、その裏には苦悩もあった。「ここで言うべきかは分からないけど、エージェントが胃がんなんだ。彼のことばかり考えているし、彼のためにも頑張りたい」。熱くメジャー初制覇へ挑む21歳。107年ぶり6人目の初出場初Vへ。最後まで自分らしく走り抜けるのみだ。