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松山英樹が「69」で優勝争いへ名乗り
石川遼、今平周吾も予選突破で週末へ

世界一過酷な戦いといわれる「全米オープンゴルフ」の2日目は、大きくスコアが動く1日となった。穏やかな天候で“比較的”易しいコンディションとなった初日から一転、この日はモンスターコースが牙をむいた。

第1ラウンドでアンダーパーをマークしたのは21人。対して第2ラウンドはわずか3人。朝から冷たい北風がコースを吹き抜け、世界から集まった名プレーヤーたちも悪戦苦闘。そのなかでも光を放ったのが、日本のエース松山英樹だった。

アンダーパー3人のうちの一人となった松山。3バーディ・2ボギーの「69」で、トータルイーブンパー。首位と4打差の7位タイで決勝ラウンド進出。悲願のメジャー制覇に向けて、ますます期待が高まってきた。

そのほかの日本勢では、トータル6オーバー・49位タイの石川遼とトータル5オーバー・33位タイの今平周吾も予選突破。石川は2013年の「全米プロゴルフ選手権」以来のメジャー大会決勝ラウンド行き。今平は8回目のメジャー挑戦にして、はじめて決勝ラウンドの切符を手にした。

世界アマチュアランキング1位で大会初出場を果たした金谷拓実は3バーディ・8ボギーの「75」と崩れ、トータル7オーバーの63位タイでフィニッシュ。予選通過に一打足りず、悔しい予選落ちとなった。

トータル4アンダーの単独首位にパトリック・リード(アメリカ)。1打差の2位にブライソン・デシャンボー(アメリカ)。トータル2アンダーの3位タイにラファエル・カブレラ-ベーリョ(スペイン)、ハリス・イングリッシュ、ジャスティン・トーマス(ともにアメリカ)が続く。

注目選手では、ジョン・ラーム(スペイン)がトータル1オーバーの12位タイ。世界ランキング1位で2016年覇者のダスティン・ジョンソン(アメリカ)、2011年大会を制したローリー・マキロイ(北アイルランド)がトータル3オーバーの22位タイにつける。

8月の「全米プロゴルフ選手権」を制したコリン・モリカワ(アメリカ)はトータル7オーバー・63位タイ、大会4勝目がかかったタイガー・ウッズ(アメリカ)はトータル10オーバー・89位タイ、フィル・ミケルソン(アメリカ)はトータル13オーバーの119位タイで予選落ちとなった。

大会はこれで決勝ラウンドに突入。優勝スコアがオーバーパーと予想されているなか、究極のサバイバル合戦に生き残るのは誰なのか。ムービングデーの3日目から目が離せない。

■無口な男がバンザイ!
松山英樹が神業チップインで優勝戦線へ

強い風が吹き荒れた2日目は、難関コースに多くの選手が苦しめられた。アンダーパーはわずかに3人。その中の一人に松山英樹が名を連ねた。前日との違いを聞かれ、「比較にならない。グリーンコンディションもタフになって、このコースが本領を発揮した」と過酷な戦いを振り返った。そんな状況でもパーを重ね続けると、ハーフターン直後の1番で見せ場をつくる。

1番パー4のティショットはファーストカットへ。そこからのセカンドショットは、グリーンをとらえきれずピン左手前15ヤードほどのカラーに落ちた。ここで「パターかウェッジかで迷った」という松山は、ウェッジを選択し神業チップインを生み出す。

一度はカップを大きく越えたボールは、下り傾斜を転がりカップイン。「練習ラウンドであそこは戻ってくるのが分かっていた」と作戦通り。「なかなかないバーディ。うれしかったですね」と両手をあげて喜んだ。そしてその後も注意深くパーを並べ終盤に入った。

仕上げは上がり2連続バーディ。決勝ラウンドに向けては「ティショットと、グリーンをヒットすることが大事になる。そこをしっかりやれば上位に入れると思う」。少しでも油断すれば、一気にスコアを落とすことになる難関コースを前に、ムービングデーも慎重にその歩みを進めていく。

■7年ぶりのメジャー予選通過
石川遼が終盤のピンチを切り抜け週末へ

2013年の「全米プロゴルフ選手権」以来、7年ぶりのメジャー大会予選通過。昨年国内ツアーで3勝を挙げて復活を遂げた石川遼が、世界一過酷な戦いで底力を見せつけた。

この日はバーディなし。それでもボギーを4つに食い止め、予選カットラインギリギリで、週末への切符を手にした。「すごく難しい1日。グリーンも午後になって難しくなった。午後組で回った自分たちからすると荒れて難しかったけど何とかガマンできた」と、きわどいプレーの連続。終盤の8番パー4ではティショットを大きく曲げ隣のホールへ。一度フェアウェイに戻し、3打目を1メートルにつけパーセーブ。最終ホールもパーに収め、胸をなで下ろした。

「予選をギリギリ通れた。この土日次第では順位も分からないので、明日集中していきたい。出るだけでは意味がないと思っていた。自分のゴルフがどこまでできるか。4日間プレーすることでいい材料が得られる。残り2日思い切ってやってきます」。残り2日間で、思う存分メジャーと対峙する。

■今平周吾はメジャー初予選通過
金谷拓実は悔しい予選カット

同組で回った日本勢二人、今平周吾とアマチュアの金谷拓実は明暗が分かれるかたちとなった。今平はスコアを落としながらも耐えに耐え、メジャー大会で初となる予選通過。一方の金谷は、大きくスコアを落とし、1打足りずに涙を呑んだ。

「ティショットがぶれてしまってグリーンをあまりとらえられなかった。そのなかで最低でもダボは打たないようにやって、それがうまくいきました」と、及第点のゴルフで耐えしのいだ今平。「予選通過できずに苦しかった」と振り返る過去のメジャーでのにがい記憶。これまでの悪い流れを断ち切り、初めて週末へのプレーへと向かう。

その一方で、ローアマを目指すと話していた金谷は、序盤からフェアウェイをとらえることができず表情を曇らせた。「昨日より風が吹いてフェアウェイ、グリーンも硬くなるなか、フェアウェイに置くことができなかった。そこで苦労しました」と唇をかんだ。

「難しいコンディションで自分のプレーができないのは力不足。もっと練習しないと。もっと自分を磨きたい。得たものはない」と反省しきりだったが、今回の悔しさは、きっと飛躍へのバネになるはずだ。