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黄金の大地をゆく 秋の韓国周遊1300キロの旅 撮影日記

新型車両KTX-イウム
新型高速列車KTX-イウムに乗って江陵へ
2021年にお披露目した韓国高速鉄道の新型車両KTX-イウム。この新しい高速列車でソウルの清涼里(チョンニャンニ)駅から韓国東北部の海辺の街・江陵(カンヌン)へ向かう。イウムは従来のKTXより低炭素で環境にやさしいつくりが特徴で、座席のシートモニターやWifiなど最新の設備が揃う。驚いたのが、「優等室」と呼ばれる車両にワイヤレスのスマホ充電器が付いていること。ソウルから江陵は、山間部を走るためトンネルだらけで車内はほとんど暗い。ワイヤレス充電にスマホをポンと差したまま寝ている人が多かった。
週末に乗車したこともあり、イウムの車内は満席だった。人気観光地の江陵は、カップルや若い女友達と行く人が多かった。私がたまたま声をかけた20代の女性3人組は高校時代のハンドボール部の友人だそうだ。ハンドボールは韓国で親しまれているスポーツだという。私は韓国語を話せないためなんとなく「うん、うん」と聞いているだけだったが、目が合っただけでなぜかお互いにゲラゲラ笑ってしまう。年齢が近いからだろうか、国は違えどシンパシーを感じ、なぜか心がむず痒くなる。目が合うとくすぐられているような感覚になった。このような気恥ずかしさは万国共通?アジア共通?どうなのだろう。
ソウルから江陵への旅路は、中間地点の原州(ウォンジュ)駅を越えたあたりから、少し雰囲気が変わる。というのも、この原州から先は2018年の平昌オリンピックにあわせて新設された路線だからだ。あくまでも体感だが、1時間40分の乗車時間のうち、半分くらいはトンネルを通過しているような印象だった。数ある列車の中でも、KTXは効率的移動手段の最たるもの。きっと列車はどんどん進化し、安く早く移動できるものが増えていくのだろう。忙しい私たちにとってはありがたいことだが、一抹の寂しさを感じた。そんなことを考えながら車窓に目をやると黄金色の田んぼが顔を出し、車内は一気に明るくなった。
ディレクター 長谷川眞子
KTX-イウムの車内
黄金色の田んぼ