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フィンランド編 撮影日記

湖が街の中心に横たわるユヴァスキュラ
サウナの撮影は大変!
ヘルシンキを起点に北極圏ラップランド地方を目指す旅。列車は一路北上、湖水地方に差し掛かった。この地方は十数万にものぼる大小さまざまな湖が点在し、森と湖の国フィンランドの大自然を車窓から拝むことができる。街は湖を中心に作られているため、地図を眺めて大きな湖があればそこにはたいがい街がある。
途中下車して訪れたユヴァスキュラは、4つの大きな湖と森に囲まれた、自然豊かな街だ。ここで撮影するものは、出発前から予め決めていた。フィンランド発祥の「サウナ」だ。フィンランドでは、約540万の人口に対して、サウナは約200万あると言われており、この国を語る上で欠かせない。一戸建ならほとんどの家庭にあり、集合住宅にも共用のサウナがある。大きな会社ではビルの中にサウナを作り、重要な会議をわざわざサウナで行うこともあるという。裸の付き合いをして本音で語り合おうということなのだろうか。
今回、撮影するのは湖畔にある公衆サウナ。日本で言うところの銭湯のような存在で、根っからのサウナ好きが集まってくる場所だ。この撮影がなかなかに大変だった。まず、外とサウナの温度差でカメラのレンズが曇ってモニターは真っ白。靄がかかって常にピンボケ状態。ドライヤーでレンズを温めてから入っても、まあ曇る曇る。そこで仕方なく、サウナにカメラをしばらく放置し、室内の温度に慣れるまで待機。すると靄が晴れ、ピンボケもなくなったが、ここで新たに問題が発生。サウナはみんな全裸のため、アングルを工夫したり、どうしても御開帳する年配の人には申し訳ないがタオルを掛けさせてもらったりしたが、予定より撮影時間が掛かり、すでに日は完全に落ちていた。
夜の暗さで、水風呂変わりに湖に飛び込む様子を撮影できるか心配になったが、幸運にもこの日は満月。月明かりが湖と裸の男たちが照らし、かえって幻想的な光景を撮影することができた。その光景を見て苦労が報われた気がしたが、ふと横を見ればカメラマンは気の毒なほど汗だくだった。
ディレクター 浜田悠希
湖畔の公衆サウナ
体が熱くなったら湖でクールダウン