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カナダ東部 秋の紅葉とメープル街道の旅編 撮影日記

気さくな乗務員が迎えてくれるオルフォール・エクスプレス
地元の人々に愛される観光列車
撮影9日目、モントリオールから東へおよそ80キロ、ケベック州の南部に広がるイースタン・タウンシップスを走る「オルフォール・エクスプレス」の取材に入る。この地域は小高い丘や、森と湖が広がる美しい田園地帯。オルフォール・エクスプレスは、アンティークな雰囲気の豪華な客車で、本格的なコース料理が味わえる人気の観光列車だ。
湖畔の街マゴッグから、イースタン・タウンシップスの中心地シェルブルックまで、片道1時間半の比較的短い路線を走る。
この日は週末ということもあり、車内は満席。子連れの家族や若いカップル、老夫婦など様々な人で賑わっていた。乗務員も撮影に協力的で、窓を開けての撮影も快くOKしてくれた。出発してすぐに、ドリンクと前菜が運ばれてきた。ビシっとした制服に身を包み、気品ある佇まいでサーブする乗務員たち。笑顔を絶やさず、乗客へ気さくに声をかけていく。撮影隊にも何か困っていることはないかと、すれ違うたびに聞いてくれる。その振る舞いが、車内にアットホームな雰囲気を作り出し、見知らぬ客同士がいつのまにか仲良くなっていくのが、とても印象的だった。
列車は、紅葉に彩られた牧歌的な風景の中を、ゆっくりと走っていく。撮影を進めていく中で特に興味深かったのが、乗客にけっこう地元の人が多かったことだ。シェルブルックに住んでいるという若い夫婦は、ドイツからやってきた妻の両親と優雅なランチタイムを楽しんでいた。特別な人を招く際に、度々この列車を使っているのだという。料理や列車の雰囲気も良いが、それ以上に乗務員たちの仕事ぶりが素晴らしいのだと自慢げに話してくれた。
シェルブルックの駅で折り返すと、いよいよメインディッシュが出てくる。撮影の合間を縫って、メインの一つ、スモークサーモンのキッシュを、なんとか食べることができた。濃厚なチーズとスモークの効いたサーモンの組み合わせが絶妙で、本当に美味しかった。食事良し、車窓の風景良し、車内の雰囲気良し。身近にこのような観光列車があることがうらやましく思えるそんな列車だった。
ディレクター 深谷 純
アンティークな雰囲気の車内
自然豊かなイースタン・タウンシップス