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カナダ東部 秋の紅葉とメープル街道の旅編 撮影日記

ハリファックス駅には電車と船を持つ女神像が飾られている
ハリファックス駅出発
撮影5日目、今日からいよいよ列車に乗車しての撮影が始まる。出発駅はカナダ国内の旅客列車の大部分を運行しているVIA鉄道のハリファックス駅。そして乗り込む列車は、ハリファックスからモントリオールまで、1346キロを1泊2日でつなぐ長距離列車「オーシャン号」だ。
まずハリファックスという街についてだが、大西洋に突き出した半島に広がるノバ・スコシア州の州都であり、イギリスの植民地として築かれた英国文化の土地である。赤レンガ造りの建物やイギリス軍が築いた要塞跡、伝統衣装キルト姿の兵士などが、当時の面影を今に伝えている。海沿いのオープンテラスの店では、昼間からフィッシュアンドチップスやロブスターを肴にビールを飲んでいる人たちも多く、歴史を感じさせつつもどこかのどかな雰囲気も漂う。
ハリファックス駅に到着すると改札前にはすでに乗客たちが長蛇の列をつくっていた。列車が週に3本しか運行されていないということもあり、乗客が多いとは聞いていたが、想像していた以上の混雑ぶりだ。撮影に対しての反応はどうだろうか。心配事の一つではあったが、カメラを向けるとほとんどの人が嫌な顔をせず笑顔で応えてくれた。カナダは多くの移民を受け入れてきた国ということもあり、外国人に対して寛容的なイメージをなんとなく持ってはいたが、正直ほっとした。
さて、モントリオールに向かうオーシャン号だが、17両の長い編成となっており、車両は主に座席タイプと折り畳み式のベッドがついた個室タイプ、ラウンジタイプ、そして最後尾にガラス張りの展望車両がついている。まずは撮影前にそれぞれの車両を確認しつつ、乗客の様子を見てまわることにした。乗客たちは出発前の時間を思い思いに過ごしていた。静かに読書に勤しむ老夫婦、アメリカからきたという団体客たちは既にお酒を飲み始め、宴会モードといった感じだ。なかでも印象に残ったのは、ラウンジ車両。老若男女が集まり楽しそうに会話をしているのだが、聞けばそれぞれがまだ知り合ったばかりだという。ここなら面白いネタにも出会えそうだ。大きな期待を胸にオーシャン号の旅がスタートした。
ディレクター 深谷 純
オーシャン号のラウンジ
雨の中のオーシャン号撮影