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オーストリア編 撮影日記

ツィラータールビールは車内でも人気
オーストリアの食文化
旅の楽しみのひとつに、その土地の食文化との出会いがある。オーストリアの代表料理といえば、ウィーナー・シュニッツェル(仔牛のカツレツ)。豚肉や鶏肉を使ったものも多いが、仔牛を使うのが“ウィーナー”(ウィーン風)とのこと。一度だけイェンバッハ近郊の街で“ウィーナー”を食べたが、とても柔らかく美味で、現地ドライバーもその味に感激していた。ほかにも、グラーシュ(ハンガリー風の牛肉や鹿肉の煮込み)やチロル地方のスタミナ料理ケーゼシュペッツレ(団子状パスタにたっぷりチーズのせ)など、家庭的な料理は我々日本人スタッフにも親しみやすく、どれも美味しかった。
レストランや列車の食堂車では、ビールを飲んでいる人をよく見かけた。オーストリアの料理には、ビールがよく合う。チロル地方のツィラータール鉄道では、売り子さんの手から500年の歴史を誇る地元のビールがどんどん売れていった。一人あたりの年間消費量はチェコやドイツと並び世界でベスト5に入るほどで、日本人平均の2.5倍、約100リットルを飲むそうだ。種類も豊富で、フルーティーなものや苦味が強いものなど味の違いがわかりやすくて面白かった。印象的だったのは名前もインパクトがあるエーデルワイスという白ビール。味が濃くてスッキリと飲みやすかった。
グラーツの朝市を取材中には、かぼちゃの種から作るというパンプキンシードオイルなるものを見つけた。この地方の特産品で古くから食べられているモノだ。日本ではあまり知られていない調味料だが、これがとても香ばしく美味しい。見た目は黒に近い深緑色で、ナッツのようなほんのり甘い香りがする。サラダのドレッシング、かぼちゃスープにひとさじ垂らしたり、シュニッツェルにつけたりと色々な味わい方があるのだ。500年以上の歴史を持つビールや、郷土料理を食べているとモーツァルトなんかも飲んでいたかもしれないなどと思い、身近にある食べ物もオーストリアでは歴史深く感じてしまう。
ディレクター 小林祥大
グラーツの市場に並んだかぼちゃ
ウィーンで食べたシュニッツェル