

2006年12月12日
鉄道の通信ケーブル、神社の銅板の屋根、地下ケーブル、電線。各地で相次ぐ窃盗事件の共通点は、盗まれた物が銅製品であること。銅の窃盗は今年に入り少なくとも1500件、被害総額は6億4千万円を超える。銅の取引をしている業者によると「世界的な在庫が数年前は100万トンぐらいあったのが、今は10〜13万トンしかない」という。
今年8月、電気会社の資材置場などから銅線の束と変圧器39台が盗まれた。窃盗グループの主犯格とみられる男の名刺には「李海忠」と中国名が。裏書には「資源リサイクル事業」「輸出入貿易」とある。その転売ルートを追った。
窃盗グループが取引をしていた関東の業者も中国人だった。業者によると銅の最終目的地は中国だという。
中国人の犯罪に詳しいノンフィクション作家の森田靖郎氏は「産業廃棄物に値するものを扱うというのは中国人の業者が多い。つまり扱うルートがある」と指摘する。その森田氏の仲介で中国人の産廃業者に接触した。日中両国のリサイクル事情に詳しい人物だという。
「変圧器だとかモーターだとか解体する必要がありますよね。日本だと手間がかかりすぎてしょうがないけど中国に持って行くと人件費が安いということで、しっかり全部解体されて再利用される。雑品クズは、全部、台州に持って行っていると思ってもいい」。
台州は上海の約300キロ南に位置する中国最大の金属リサイクル都市。港の集積場所にはスクラップの山が出来ていた。台州資源再利用協会の会長によると「中国内の銅鉱の生産だけでは、必要とされている量に追いつかない。だから中国は80年代以降、海外からリサイクル資源を輸入するようになった」。台州で再生された銅は輸出せず、国内で消費され尽くすという。
台州リサイクル市場の総責任者は「今年の市場規模は450億円と予想している。リサイクル産業の発展は中国各地の発展をリードする役割がある」と話す。五輪を控え、建設ラッシュにわく中国。再生された銅はインフラ整備の通信ケーブル等に使われるのだという。
窃盗事件まで引き起こした中国の銅不足。その状況を日本にいる中国人の業者はどう捉えているのか。
「経済の発展と金属との結びつきは、鉄の需要がまず出てきて、その次が銅、それからアルミ、ステンレスという順番がある。