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2006年12月6日

消え行く伝統 ばんえい競馬廃止危機

消え行く伝統 ばんえい競馬廃止危機

世界でここだけにしかない北海道の「ばんえい競馬」が今、崖っぷちに立たされている。


ばんえい競馬は1トンを超える馬たちが力を競い合うレース。帯広市を含め、道内4市が共同して開催してきたが10月以降、3市が相次いで撤退を発表。8年前から累積した赤字が約40億円になる見込みとなった。今や帯広市が最後の望みとなってしまった。このままではばんえい競馬に携わる騎手32人、調教師・厩務員220人、場内関係者475人が一度に失業する可能性が高い。


鈴木勝堤騎手が「馬に携わってしか生きてきたことないんで、馬にはたけているけど他のことはあまり分からない」と言うように、特殊な競馬故、今から一般的な地方競馬に転身できる騎手はいない。馬もまた同じことだが待ち受ける運命が違う。九州に馬肉として出荷されることになる。


一方、約270ある馬の種付けをする生産者にも深刻な影響が及ぶ。ばんえい馬生産者、三井宏悦さんの牧場では30頭の雌馬の半数以上が来年の春、子供を生むが、「廃止なら生まれてきても走る所がないから困る」と三井さんは困惑している。


広大で凍て付いた大地を切り拓くために活躍し開拓民の生活に密着していた農耕馬。明治末期から祭りの余興などで馬に
ソリを引かせる「草ばん馬」が盛んに行われた。1947年から公営競馬となった北海道開拓史の象徴とも言えるばんえ
い競馬の火は今、消えようとしている。「競馬の売り上げが今150億円ぐらい。それだけの売り上げがあれば何とかやれ
ないことはない」と三井さん。なぜこんな事態になってしまったのか。


直接的な原因は8年以上続いて約40億円に達する累積赤字。北海道市営競馬組合・斉藤守助役は「レジャーの多様化、
北海道における経済の復興状況、これらが大きく要因としてあげられる」と話すが、自治体の機関である競馬組合の運営
手法に疑問の声も出ていた。ばんえい競馬を舞台にした小説の作者で帯広在住の作家、鳴海章さんは「結局、誰も決めな
い、どこも決めない、全部たらい回し。ばんえい馬そのものを、機会を捉えて知らせようとする姿勢が感じられない」と
責任を取らない体質を批判する。


存続を信じて厩舎の関係者たちは夜明け前から馬たちの調教を続けている。存続が廃止か。

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